【コラム】年長1年間の過ごし方 – 受験準備を確実に進めるために –

11月から「新年長」を迎えた現年中のご家庭にとっては、小学校受験に向けた学びが本格的に始まる大事な1年となります。学びの量も増え、授業や宿題を通じて忙しい日々が続く中、「どのように毎日を過ごしたら良いのか」とお悩みになる方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回のコラムでは、見通しを持って受験対策に取り組んでいただけるよう、年長1年間の過ごし方について、具体的な流れとポイントをご紹介します。

もくじ

スケジュールを俯瞰しよう

受験までの1年間は、まるで長い旅のようなものです。目的地にたどり着くためには、「地図」つまりスケジュールを確認し、目標に向かって進むルートを把握することが大切です。

そのため、まずは1年間のスケジュールを全体的に把握しておきましょう。東京の小学校受験のスケジュールを例に挙げると、秋から冬にかけて考査が集中しており、11月から12月にかけて本番の試験があります。春には学校説明会が行われ、5月以降には受験関連の情報がさらに公開されます。これに伴い、学校によっては公開授業やイベントが予定されていることもありますので、随時確認しながら参加を検討しましょう。

行事がある月や学校説明会の時期には、学校の特色や雰囲気に触れられる貴重な機会がたくさんあります。早い段階で、どの時期に何があるかを確認し、余裕をもって準備を進めることが大切です。

情報収集の大切さ

小学校受験は情報戦です。過去問が公表されていない学校が多い分、信頼できる情報を積極的に集めていく姿勢が求められます。たとえば、木を育てるのに水が必要なように、受験準備も日々の情報収集が重要です。学校の公式サイトや説明会に加え、信頼できる教室や知人の助けを借りるなど、情報の「土壌」をしっかりと耕し、豊かな実を結ぶ準備をしましょう。

また、近年ではオンラインでの学校説明会も増えています。コロナ禍以降、どの学校も積極的に情報を発信するようになり、自宅にいながら最新の情報を得る機会が増えました。今までの「例年通り」にこだわらず、各学校のウェブサイトやSNSなどを活用して情報収集を欠かさず行うことが大切です。

視野を広げ、選択肢を増やす

また、年長のこの時期には、受験を考える学校についても視野を広げておくことが大切です。第一志望校だけでなく、併願校についても複数の学校を検討し、できるだけ見学や説明会に参加してみましょう。

例えば、普段の生活圏外にある学校でも、実際に足を運ぶことで新たな魅力を発見することがあります。「設備が素晴らしかった」「先生方の指導方針が理想的だった」といった気づきが得られることもあります。

実際、毎年「見学してみて印象が大きく変わった」というお声は多く寄せられていますので、柔軟な視点で学校を見ていきましょう。多くの学校を知ることで、誰もが知る有名校だけでなく、お子さんの性質に合う学校も見つかりやすくなります。

学習の見通しを立てる

次に、お子さんの学びの目標を、ペーパー、運動、巧緻性、生活巧緻性といった項目ごとに分けて設定しましょう。特に小学校受験では、実生活と結びつけた学びが大切です。

例えば、ペーパー学習の中で「上下」「左右」「前後」といった空間把握能力を身につけさせるためには、日常生活での声かけが効果的です。「お皿を右に置いてね」「棚の上にある絵本をとって」といった具体的な指示を与えながら、遊びや家事のお手伝いを通して、空間認識の概念を自然に身につけていくことができます。

運動についても、継続的な取り組みがポイントです。たとえば、ボール遊びでキャッチや投げる動作を繰り返すことで、手先や目の協応性を鍛えることができます。年長の年齢は身体的な成長も著しいため、少しずつ難易度を上げながら挑戦させてあげましょう。これまで苦手だった運動も、成長に伴って自然とできるようになることが多いものです。親御さんも一緒に参加して楽しみながら取り組むと、お子さんの意欲もより高まります。

家庭での生活巧緻性と自立のサポート

家庭内では、生活巧緻性についても意識を向けましょう。受験対策といえども、生活の自立は重要な評価ポイントです。

身の回りの整理整頓や、衣服の着脱、簡単な掃除や片づけなどを自分で行う習慣をつけることで、自己管理能力が身についていきます。例えば、食事の後片づけやテーブル拭きなど、少しずつ任せる範囲を広げていくと、お子さんも「自分にできることが増えた」と自信を持つようになります。

親が手を出さず、時間をかけて見守る姿勢も大切です。

「行きたい」という気持ちを持たせる

お子さんが自分の未来の姿をイメージできるように、具体的な目標を持たせることも忘れてはいけません。

例えば、休日に受験を考えている学校の校舎を見せに行ったり、その周辺で遊ばせたりすることで、お子さん自身が「こんな広い校庭で遊んでみたい」と自然な興味を持つようになります。また、その学校に通っているお兄様、お姉さま方の様子を実際に見学することで、「あんなふうになりたい」と具体的なロールモデルを見つけることにも繋がります。

親御さんから見れば些細なことに思えるかもしれませんが、このような小さな積み重ねが、お子さんの「頑張りたい」という意欲や主体性を育むのです。この気持ちを持った上で学習に取り組むのと、そうでないのとでは、学びの質や成長速度が全く異なります。

受験対策の第一歩を踏み出そう

小学校受験の準備は、毎日の地道な取り組みがあってこそです。受験を目的にするだけでなく、お子さんの成長を見守り、日々の生活を丁寧に積み重ねていくことが重要です。

学校の先生方も、そうした日々の積み重ねから生まれる、お子さんの「本物の成長」を見ています。毎日の中に小さな学びや喜びを増やし、受験の日に「自分らしく」輝けるようにサポートしていきましょう。

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この機会を、是非お見逃しなく。
皆様の受験対策が辛く険しい道ではなく、お子さんと共にその成長を楽しみながら輝かしい未来へと続く道になることを願っております。

執筆
小学校受験コース担当講師 吉岡未来

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