第1回 保護者課題 ~解説~

・第一回目の課題をご提出くださり、ありがとうございました。万が一、今回、期日を過ぎてしまわれた方は、今後においては厳にお気をつけください。学校に通われるようになってから、期日を守らないご家庭は非常に忌避されます。
なおご存じかと存じますが、入学考査の出願の際にも、郵送書類は消印の日付が厳密に規定されていますので、1日でも過ぎることは決して許されません。よしんば受理されたとしても、合否判定会議で、真っ先に選考の対象から外されます。そうした理解のもとに、くれぐれも学校に対する提出物と同じ意識にて取り組んでいただきたく存じます。

・保護者課題は面接や願書の質問を想定していますので、論文調や「である」調の文章ではなく、「ですます」調の丁寧な言葉遣いによる表現を意識していただきたく、お願い申し上げます。

・限られた字数での記述を求められていますので、課題として提示された質問内容を回答の冒頭等にわざわざ引用して、貴重な字数を消費することは控えてください。「我が家の家庭の教育方針は***です」ではなく、シンプルに「***です」とのみ言い切っても十分に伝わります。また、「私共が学校教育にどのようなことを期待するかと問われれば、それは***であり、……」のような冗長な表現は、はっきり申し上げて読む気を失います。学校の先生方は、何百人と面接し、何百枚もの願書を読みます。冗長な表現はやめ、趣旨が明確に伝わるような書き方にしてください。穿った見方をすれば、書くべき内容が思いつかないので、字数を埋めるためにこのような書き方をしているのではないかと疑われる可能性すらあります。

・お母様の課題「家庭の教育方針を教えてください。」に関しては、例年のご回答を拝見する限り、初回であることを差し引いたとしても、比較的よく書けていらっしゃる方が多い印象です。しかしながら、思いを語るだけではなく、その実現のために家庭として何を行っているかを明確に記していただきたいと感じる方も中にはいらっしゃいます。抽象的な記述に終始し、理想を美しい言葉で述べるのみならず、具体性を伴うように気をつけてみてください。

・一方でお父様へ出題した質問は、回答内容が散漫になりがちです。「学力を身につけるだけでなく人間力を磨かせたい」という趣旨の文章を、ダラダラとした表現で書いているものが目立つことが多く、これも上の指摘と同様に、同じような記述を何百枚と読むことになる学校の先生方のことを考えていただきたいと思います。記述内容は、そのご家庭ならではのお考えに基づいており、しかもそれが奇を衒ったものではなく、我が子の成長を願い真摯に考え抜いた結果として紡ぎ出された文章になるよう、心がけてください。

・また、「学校教育に期待すること」への回答にもかかわらず、家庭教育内容や家庭教育の価値観に紙幅を割きすぎてしまうことがあります。本論よりも長い前置きとならぬよう、端的な表現に努めてください。

・「学校教育に期待すること」を答えているうちに、かなり高い目線からの教育論を振り回す結果になってしまっている方がいらっしゃいます。釈迦に説法、教育者に教育論ですから、「学校教育はこうあることが望ましい」という評論姿勢ではなく、学校が築き上げてきた伝統、積み重ねてきた教育活動の重みに敬意を表して、全面的にその教えに従う、へりくだった姿勢を基本とするようになさってください。また、特定の学校を想定してご回答なさる場合にも、その学校の大切にしている教育観を表すキーワード(例えば、「敬神奉仕」や「独立自尊」といった、学院標語や建学の精神など)を、軽々しく扱うのは控えた方が良いです。そうしたキーワードは、それぞれの学校の中で永久に追究していく対象たる崇高な理想として掲げられているものであり、敬仰の対象です。間違っても「我が家の子育ては独立自尊の精神で行っています」とか「独立自尊を私たちは大切にしています」などと、軽々しく口にできるものではないのです。もしこうしたキーワードを文中に持ち出そうとするならば、その用語と常に向き合っている先生方からいかに鋭い問い返しをうけたとしても、自己の考えを筋道に沿って淀みなく述べられるような深い研究を背景として用いる、というほどの覚悟を持っていただきたいと思います。

・また、ときおり小学校での生活を手段としてお考えの方があるようです。(上級学校や、将来に向けてのステップのようなイメージでしょうか)系統性を持った学習を行う視点に立てば、たしかに一定の納得もありますが、一方で子ども達が、そこ(学校)で過ごす時間そのものの価値について、より深くお考えいただきたいと思います。小学校の先生方も、自分たちの教育活動が単なる手段と捉えられては、あまり良い印象を抱きません。学校での時間を充実して過ごした結果、人格が形成されていく過程について、各ご家庭がご理解をいただければと存じます。

・「将来を見据え、まずは家庭として何を考えているか。そうであるからこそ学校にはこのような期待を寄せている」という視点に立って記述されている文章は、学校に丸投げするのではないご家庭の真摯な姿勢と信頼が見えるため、好感が持てるものです。

・そのほか、表現形式の面から今後のためにお伝えですが、回答の中に表現の癖がある場合は、早い段階で癖を取り除けるようになさってください。ご自身がお書きになった文章を一度読み返していただくとともに、ご夫婦で互いの回答を読み合い、重複する表現が何度も表れていたり、読み手にとって違和感のある表現になっていたりしないかどうかを、よく気をつけてみてください。誤字・脱字などにも意識を配り、読みやすく、かつ印象に残る文面となるよう、表現方法の工夫を試みてください。

以上となります。
引き続き、次回の課題もお願い申し上げます。