第2回 保護者課題 ~解説~

・今回も課題に向き合いご提出くださり、ありがとうございました。

・今回の課題も、入学願書並びに保護者面接を意識し、ご家庭のお考えを日々深めて頂くことを目的とする取り組みであることを前提として、以下お読み下さい。

・学校の先生は、何千何百という願書の中から志願理由、ご家庭のお考え、教育の価値観、お子さまの性質、様々な角度から、志願者(保護者)がどのようなご家庭なのか、たくさんのイメージを膨らませつつ読み進めて行かれます。
(※学校理解がまったく及ばず、ご家庭のイメージがほぼつかない願書・面接応答では、大変厳しい合否結果が待っているとお考え下さい。)

・その上で、実際の考査(行動観察)、面接での応答内容と願書の中身に整合性がとれているか、嘘偽りがないか、教育のプロが評価する訳です。ですから、願書は究極的に読み手側に立った構成内容でないとならないことを是非お覚え下さい。

・ご自分が入学を許可する立場になったと仮定し、客観的にご自分のお考えを分析することが大変重要です。

・お母様の課題「しつけで気をつけていることは何ですか。」に関して、例年多く寄せられる回答に『親が子どもの手本となるよう心掛けています』といった内容の記載がございます。また、その具体例として ″元気なご挨拶“ “お相手の目を見て話す” ”ありがとう・ごめんさいを素直に言える””お相手を思いやる” こういった促しを親が手本となるよう示し導いている。というものです。

・これはしつけとして問われる回答としては、些か当たり前過ぎていて(小学校受験に向かうご家庭であれば全員出来て当たり前と思っていて欲しい項目です。)10倍率の壁を突破する保護者回答か?と申しますと、答えはNOということになります。決して間違った回答ではありませんが、皆さんのうちの多くの方が目指される学校は、日本でも指折りの超難関校な訳ですから、面接考査でよく言われる「10人に訊いて9人は同じ回答をする」・・・この残り1名になってほしいということです。

・更に高みを目指す為には、何事も深堀って回答することを心がけて下さい。
「どうしてありがとうなのか?」「何がごめんなさいなのか?」「なぜ思いやりが必要なのか?」「話を聞くとき、話をするとき、相手の目を見ることがどうして大切なのか?」
日々の暮らしの中で、子どもが理解できるよう具体性を伴わせ、繰り返し根気強く教え導くこと、その親の姿(価値観)こそ学校側が最も知りたい”本質”です。
また、小学校受験対策という点においては、これらを日々言語化し積み上げて行くことが肝要です。

・また、『先ずは子どもの気持ちを尊重したい』『子どもには子どもの考えがあって行動していることを忘れてはいけないと思う』 『子どもの気持ちに最大限寄り添って行きたい』という回答もしばしば寄せられるものです。
ここでお伝えしたいことは、”自由教育と甘やかしは違う”ということです。
個を尊重し、自由に才能が伸びるよう自発的な活動を重んじる自由教育と、子どもの気持ちに寄り添うあまり、物事の善悪や集団でのルールを曖昧にし、自分本意で利己的な判断基準で子どもを甘やかし、野放図にしている…
前者と後者はまったくの別物です。昨今、ここを一緒くたにしているお父様、お母様をよくお見かけします。

・幼児期は物事の善悪を家庭教育の中でしっかりと教え導く最も大切な時期です。善悪を教える過程において、時には問答無用でダメなものはダメなんだと厳しく叱る場面も必要でしょう。名門私立小学校が求める家庭像とは至ってシンプルで、この部分を非常に重要視されているようにも感じています。

・しつけに関するご質問は、面接考査のあるすべての私立小学校で出題可能性があるものです。ご両親の教育観、人生観、生き方をずばり訊かれている訳です。ここをお覚えいただき、今日からまた新しく歩みを進めて下さい。

・お父様の課題「入学後、学校とどのような関わりを持とうと考えていますか。」に関しては、『学校には全幅の信頼を寄せており、すべて学校のご判断の通りお委ねしたい』『すべてにおける協力を惜しまない』『学校と子供たちの為であれば、自ら保有するすべてを捧げて行きたい』等々、熱い想いが寄せられることが多くございます。このような回答をお書きになられたお父様は、方向性としては正しいです。

・ただ、更に良い回答にする為には、学校が示される【教育活動の範囲外の部分】について、家庭でどのように補い深めて行くのかを具体的に伝えていくことが大切です。学校によっては、学力強化はご家庭で行って下さい。ですとか
プールを持たない学校であれば、水泳術はご家庭内で身につけて下さい。となります。

・家庭に与えられた課題に対し、どこまでも謙虚に、そして喜んで取り組む姿、真に学校と共に歩く準備があることを決して出過ぎることなくお伝え下さい。

・集団の中で明らかにご自分のお子さまの成長が至らないと見てとれる場合には、全て学校にお委ねするのではなく、『必ず家庭でも導きます』という意思表示が必要です。
極端に申せば、長所は学校生活で更に伸ばして頂く一方、短所は必ず家庭で補い、改善するよう最大限の努力は惜しみませんと約束する姿勢こそが求められる姿でしょう。

・分かりやすい例ですが、授業参観があったと仮定します。
我が子の真後ろを陣取り、腕を組み先生の授業の良し悪しを評論するお父様と、授業運営の妨げにならぬよう周囲に気を配り、たとえ我が子の様子が見えなくとも黙って末席に身を置き、先生が空気の入れ換えをと言えば直ぐに自ら動くお父様、どちらのお父様を学校は好まれますか?
このように例を挙げれば容易に想像出来ますが、実際あれだけ切望して入学を願い出たにも関わらず、入学後はふんぞり返ってしまうお父様は案外多いものなのです。

・前回解説にもありました箇所再度ご確認下さい。
『家庭のことを余りにも多く書きすぎると、文章がぶれてしまいます。学校教育、家庭教育、それぞれの立ち位置についてご家庭の考えが明確に書き分けられていれば一定の説得力がありますが、それらが混在し、両者が行き来するような文章運びの場合には読んでいて意図をはかるのが困難です。』

以上となります。
引き続き、次回の課題もお願い申し上げます。