第5回 保護者課題 ~解説~

・今回もご回答くださり、ありがとうございました。だんだんペースがつかめてきたでしょうか?

・例年の傾向で、早い方は水曜日あたりにはご提出くださるのに対して、期日間際の方は、期日間際となることが重なるようです。ご家庭ごとに1週間の生活やお仕事のリズムがおありかと存じますので、一概には申すことはできませんが、期日内と言えど、あまりに間際になることが重なるのは考えものです。学校でも、提出物は期限内にゆとりを持って提出することが求められます。(毎回提出物が遅れたり締切間際の方は、結局締め切りを過ぎても間に合わない、病欠で結局期日に出せなかった、などとなりがちで、すると全体が滞るために先生方からは困った家庭と思われがちです)可能な範囲で、多少、時間にはゆとりを持って取り組んでいただきたく存じます。

・なお、これは経験則ですが、この保護者課題の提出が滞る方は、受験の結果も思わしくないものになることが多いという相関が、確実に生じています。

・ところで、保護者課題の取り組みに関しては初回より、母親への質問も、父親への質問も「300文字以上で回答してください。ただし、長文になり過ぎないように400字以内程度の文量にまとめてください」と分量の制約を設けております。これは、数年前に行った本取り組みの初期の頃に、回答が極端に短かったり、冗長になったりした方がいらしたので、あらかじめ字数の目安を明確にするために設定しているものです。

・そうした字数の制約の中で、一部の方については字数を守って端的に書こうとした結果、少し内容が薄いものになってしまうという方もいらっしゃいます。示された字数の中で、効果的に表現する練習を重ねていただければと存じます。

参考までに、字数制限が明確な例として過年度の東京農業大学稲花小学校の「願書(事前面接用質問票)」の質問項目から一部を下に転記しますので参考になさってください。設問によっては思ったよりも少ない文字数での表現が求められている一方で、それなりの量の長文も求められることに驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。

⦁ 志願者の性格や行動について、保護者として改めたいと考えている点がありましたら、80字(40字×2行)以内で記入してください。
⦁ 志願者にとって安心できる家庭環境を作るために、どのようなことに気をつけていますか。120字(40字×3行)以内で記入してください。
⦁ 子育てに迷ったとき、どのように解決されていますか。どのように情報を得たり、相談したりしていますか。120字(40字×3行)以内で記入してください。
⦁ 職業人としてどのような使命感を持っていますか。保護者の職業観について、120字(40字×3行)以内で記入してください(所属や役職などは必須ではありません)。
⦁ 本校を知ったきっかけや受験を決意した理由など、志望の動機について、120字(40字×3行)以内で記入してください。
⦁ 志願者が社会人になる頃、社会はどのような能力や人柄を求めるようになっていると思いますか。また、それを踏まえ志願者をどのように育てたいと考えていますか。1,080字(40字×27行)以内で記入してください。

・限られた字数の中で効果的な表現をするためには、ご家庭ならではの内容が生き生きと目に浮かぶような点に絞って率直なお考えをお書きになることが大切です。「質問に対して、問われたことに端的に答えてください」とはこれまでにも繰り返しお伝えしていることではありますが、決して一問一答をしてくださいと申しているのではありません。問われていることへの明確な回答を切り口にして、ご家庭の価値観や子育ての思いが学校側に伝わること、伝える意識をもった表現になっていることが大事です。

・すなわち今回の設問では母親への設問に関して「○○を教えるのが難しい」あるいは父親への設問に関して「△△は妻が行っており、私は××を行っております」というような事実のみを語るのではない回答が望まれます。

・母親設問では、一分の隙もないスーパーお母さんとしての取り組みを聞きたいのではなく、親として誰もがぶつかる壁や困難に対してどのように向き合っているか、適切に周囲の力も借りながらいかに子どもと向き合っているかを聞きたいものです。完璧を目指して子どもや自分自身を追い込んだりするのではなく、謙虚で真摯で前向きな姿勢を保つ、明るいお母さんの姿をお子さんの前で示すことができているかを振り返っていただければと思います。

・また「**に困っています」ということで終わるのではなく、実態に基づいて、そこから何をしているか、何ができそうかを考えて、子育てを楽しもうとするご様子が見えると望ましいかと思います。さらにお子様への教育を意識するあまりに「※※を身につけさせようと・・・」ということを強く押し出しすぎると、親の意のままに子どもをコントロールしようとしている印象を与えかねないので、あくまで一人の人格としてのお子さんのお姿を大切に考える姿勢は忘れないように表現なさってください。

・一方の父親質問では、役割分担についての考え方を問うているので、必ずしも明確な役割分担の内容を書いてくださいという意味ではありません。とは言え、母親・父親あるいはご両親双方の人格やお人柄、得意な領域などに合わせてお子様に対してどのように接しているのかを表現してくださることが望ましいと考えます。その際、「家のことは妻に任せています」という回答は最も避けるべきものです。

・現実的にお父様が日中はお仕事に出られていて時間的な制約があるという実情があったとしても、日々の中でお子様との関わりの時間をいかに捻出しようとしているか、むしろそのためにはいかなる努力をも厭わないくらいの気構えがあるという熱意を、表現したほうが良いでしょう。もちろん、ご両親が全く同じ温度感・方法でお子さんを間に挟むというようなことはかえってお子さんにとっても息苦しい面が生じうるでしょうが、適切な分担によってお子様を中心に置いた家庭が営まれている様子がありありと目に浮かぶような回答が望まれます。

・なお、「日々の細かいことは母親が、ここぞというときは父親が」というような”分担”は決して悪いものではありませんが多くのご家庭に共通する、言わば「ありがち」な回答なので、先生方にとっては毎年何百もの家庭から耳にする事柄ですから、もう少し踏み込んだご家庭ならではの回答をなさることをお勧めします。

以上となります。
引き続き、次回の課題もお願い申し上げます。