第6回 保護者課題 ~解説~

さて、保護者課題も第6回目を迎えました。

回を重ね、段々とご家庭の軸が見出せたのではないでしょうか。

・今回のご質問、学校がお知りになりたいのはズバリお母様の「素直さ」、お父様におかれましては「謙虚さ」です。

・学校はこうしたご質問からご両親の人間性をよくご覧になっているということを是非お覚え下さい。

・時間制限のある面接、文字制限のある願書、アンケートにおいて、「あの事もこの事もお伝えしたい」という親心は大変よく分かりますが、たくさんの情報を盛り込み過ぎることは質問の応答としては的外れとなり、結果として何が言いたいのかよく分からない内容になってしまいがちです。
質問にはなるべく端的に応答し「学校は何を訊きたいのか、本質はどこにあるのか」と必ず立ち止まり、ご自身が応答する方向性について、もう一度読み手側(聞き手側)に立つ習慣をつけましょう。

・繰り返しとなりますが、願書や面接はお子さまの志望校入学をひれ伏し願い出る場です。大上段に構えた論文であってはなりません。

<お母様へのご質問>
「子育てをする中で考え方が変わったことはありますか。」

・今回も育児に関するご質問でありながら、一人の人間として生きるお母様の人生観や価値観をご覧になっているとお考え下さい。(※ミッションスクールの両親面接では毎年多く出題されます。)

・育児の苦悩、試行錯誤する毎日の中から得た気付きを自らの反省として素直に受け止め、建設的に自己分析をなさっているお母様のご回答には好感が持てるものでですが、「私のこういう側面も評価して欲しい」、「育児の拘りを伝えたい」或いは「これはプラス得点になるのではないか」こういった打算を抱きつつ書いておられる場合には、一旦フラットに成りましょう。

・子を育てる中で、自らの人生や生き方が変えられる恵みの中にいると感じられる素直さこそ大変麗しいことで、キリスト教的価値観から申し上げれば、最も大いなる愛の業なのではないでしょうか。お母様ご自身も、決して完璧でなくて良いのです。

・「完璧でなくてもいい、生き生きと自分らしい人生を喜んで生きればいいんだ」
こんな気付きが与えられ、人生観が変わったというシンプルな内容であっても、誠実に生きるお母様のお姿こそ学校側が求める母親像なのです。一つひとつの応答にエピソードを盛り込むこと、決して悪くありませんが、今回のような質問には日常のミクロなエピソードよりマクロで応答して行くことが有効でしょう。

・なお、本質問における過去のご回答の中で「うちの娘に合った学校を見つけたい」というNGワードが登場したことがございます。話の前後からご家庭の真意、本質は異なるところにあると私共は理解していますが、仮にそう思っておられても、願書・面接では最も使ってはいけないNGワードとなりますので重ねてお覚え下さい。
あくまでも志望する小学校にご家庭が合わせていく、どこまでも学校に寄せていくご姿勢をお示しし続けて下さい。

少し脱線しますが、東洋英和女学院 初代校長のミス・ブラックモア先生が卒業式でお話になった言葉はキリストの愛の約束と希望そのもので、当会代表が最も大切にする信条でもあります。

子育て真っ只中、且つミッションスクールを志願される方々の考えるヒントと救いになればと願い、ここにご紹介をさせて頂きます。(以下、東洋英和女学院HP 東洋英和と村岡花子より)

校長のミス・ブラックモアは、卒業に際して以下のような言葉を残しています。

「今から十五年、二十年、三十年ののちにあなたがたが今日のこの時代を思い返して、なおかつ、あの時分が一番楽しかった、一番幸福だった、と心底から思うようなことが、もしあるとしたならば、私はそれをこの学校の教育の失敗だといわなければなりません。人生は進歩です。今日は昨日よりも良く、明日は今日よりもすぐれた生活へと、たえず前進して行くのが真実の生きかたです。若い時代は準備のときであり、その準備の種類によって次の中年時代、老年時代が作られていきます。最上のものは過去にあるのでなく、将来にあります。旅路の最後まで希望と理想を持ちつづけて進んで行く者であってください。」

<お父様へのご質問>

「学生時代や仕事の経験で子育てに役立っていることは何ですか。」

・このご質問に関しては、「お父様の学生時代に情熱を注がれたことを教えて下さい。」あるいは「お父様のお仕事の内容について教えて下さい。」という問いに対するご回答に終始されたお父様がよくいらっしゃいます。

・本番の面接考査でも同じように尋ねられる場面がよくございますが、その場合でもどのような想いでスポーツやゼミナール活動にご自身の情熱を注がれたのか、どのような信条で仕事に向かっておられるのか、お父様の人生観、人間性を知りたいご質問ですから、そこにスコープをあててお話いただくことが肝要です。

・これらのご経験が家庭生活の中で特に子育てにおいて具体的にどのように役立っているのかを是非お話いただきたく存じます。(割合的にはご自身のお話より、こちら側にウェイトを置いていただきたいということです。)

お父様のダイナミックな子育てによってお子さまの育ちにどんな影響を与えているのか、ここまでお話できたらホームラン回答と言えるでしょう。

・これも繰り返しとなりますが、皆様が目指しておられる小学校は日本でも指折りの超名門校です。集まるご家庭も皆様大変ご立派で、願書に記載されたご経歴、お職業をご覧になれば学校側も概ねのことは理解をされます。
ですから、ご自分のご経歴やご職業についてのご説明はほどほどに(学校側が訊きたいことではありません。)

どこまでも謙虚な姿勢を忘れることなく、先生のお立場に究極的に寄り添うことをお忘れなくお願いします。

以上となります。
引き続き、次回の課題もお願い申し上げます。