【コラム】モンテッソーリ教育における乳幼児期の大切さについて
乳幼児クラスを担当しております中田です。
私は6年ほど幼・小学校受験を目指すお子様と関わる機会をいただいています。どのお子様も小さな体で頑張っていますが、年長児で、色塗りやはさみ切りが上手にできないといった巧緻性の分野で苦労している姿をまれに目にすると、乳幼児期にモンテッソーリ教育を受けていればと思うことがあります。
もちろん、年長になってからでもお子様自身の意思で気を付けて直すことは可能です。ただ、一度身についた習慣を自ら気づいて直すのは大人でも難しいものです。誰しも初めてクレヨンでぬりえをした日、初めてはさみを使った日があるでしょう。その時にきちんとした使い方を習得していれば、習慣として身につき、後々苦労することはないのです。
0~3歳の乳幼児期におけるモンテッソーリ教育
私はモンテッソーリ教師の資格を有しており、モンテッソーリ教育を学んでいます。0~3歳の乳幼児期をモンテッソーリは「吸収する精神」と呼んでいます。この時期は吸収力が人生の中で最も強く、その後何十年かけても獲得できないことをいとも簡単に獲得し、人間社会に適応していく時期です。しかも、無意識に、それが何かわからなくても生まれてから受けるすべてを取り込んでいきます。子どもが置かれている環境全てを吸収していくため、子どもをどの環境においてあげるかが非常に大事になってきます。
それでは、どのような環境においてあげればよいのでしょうか。それは「敏感期」に見合った環境です。「敏感期」とは、子どもがある特性を獲得するために、環境の中の特定のものに執着し、同じことを何度も繰り返しながら熱心に関わっていくことを言います。この時期の「敏感期」には運動、感覚、言語(話しことば)、秩序があります。わかりやすい例を一つ挙げると、ティッシュをずっと箱から出す、棚から絵本を引っ張り出すなどの一見いたずらに見える行動です。引っ張り出すという動きは手指でものをつまむ、そして手首・肩までも使います。これは運動の敏感期の中で、その体の動きを獲得しようとしているのです。ですから、思う存分引っ張り出せるよう、ティッシュではなくとも引っ張れるおもちゃを用意してあげることが、見合った環境となります。
新生児の頃は寝ていますが、1歳頃には歩き始め、2歳頃には言葉も話します。この0~3歳のお子様の変化は大きく、お子様年の「敏感期」に見合った環境もその都度変えるという、変化が求められてきます。
観察が大事
モンテッソーリ教育はお子様の観察が大事です。親御様は日々お忙しいかと思いますが、一日5分でも10分でもよいので、お子様を客観的に観察してみてください。観察をしていると、子どもは今こんなことに興味を持っているのだな、関心がここに向いているのだなと、今何をしたいのかが見えてきます。そうすると「敏感期」にも気付くことができ、それに伴って環境を整えることができるのです。
ただ、お子様を観察しても何に興味を示しているのかわからない、何の「敏感期」なのかがよくわからないという方もいらっしゃるかと思います。乳幼児クラスでは、お子様を4時間お預かりする中で、今どの「敏感期」なのか、何に興味があるのかじっくり観察し、そのご様子をご家庭と共有し、一緒により良い環境を整えていくようにしています。
スモールステップを踏みましょう
観察をしている中で、はさみに興味を持ったからといって、適当に切らせていませんか。モンテッソーリ教育では、はさみ切りは1歳半頃から行えます。はさみは使い方を間違えるととても危険なものです。初めて手に取るときは使い方を大人がきちんと提示する必要があります。はさみの持ち方、はさみの向き等をゆっくり見せます。そして切る紙は細長く、はさみを一度開いて閉じれば切ることのできるものとします。まずは、はさみとは紙を切ることができるのだということを理解するのです。それができるようになると、細長い紙に線が引いてあるものを用意し、一度で切り落とせるけれども線の上を切ることを覚えていきます。そして次に連続切りを覚えていくのです。このはさみ切りの例のように、一つのはさみ切りというお仕事をとっても、スモールステップを踏むことにより、確実に正確にできるようになります。そして、小さな「できた」を積み重ねることにより、たくさんの達成感を得ることができ、自己肯定感も高まっていきます。
発達は繋がっている
では1歳半になったら、はさみ切りのお仕事がすぐにできるのかというと、そういう訳ではありません。はさみを使うには手指が思うとおりに使える必要があります。左右の手が違う動きができること、目と手の協応もできている必要があります。遡ると、赤ちゃんの時からガラガラを握る、振る、ボールを握る、落とす、引っ張る、つまむなどの動きをたくさん行い、手指がしっかり発達し、自分の意思で動かせるようになっていないといけないのです。運動の敏感期で手指の動きを獲得してきたかどうかに依存します。このように、子どもの発達は全て繋がっています。乳幼児期は人間の根幹部分、基礎の部分で一番大切な時期です。この基礎の部分をしっかりと育つことにより、お子様は受験にも対応できる子どもに育ち、様々な可能性をもった人へと成長できるのです。
乳幼児のお子様がいらっしゃる親御様におかれましては、受験に興味があるけれどまだ先のことだし何をしてよいのかわからない、初めての子育てでどの情報を信じて育てれば良いのかわからないといったことがあると思います。ぜひ私共乳幼児クラスにご相談ください。乳幼児クラスは少人数制であり、おひとりおひとりのお子様の月齢、発達に見合った環境を用意し、お子様の健やかな成長をサポートいたします。将来の受験を見据え、ご家庭と私共と力を合わせてお子様の環境を作っていきましょう。
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