【コラム】ミッションスクールのクリスマスを知る -愛と救いの喜び-

こんにちは、慶楓会 小学校受験コース主任の松下健太です。

12月に入り、街が美しいイルミネーションとクリスマスの装いに包まれるこの季節、皆さまのご家庭でも特別な準備を進められていることと存じます。子どもたちが目を輝かせながらツリーの飾り付けをしたり、家族でクリスマスの計画を立てたりする様子は、この季節ならではの心温まる光景です。

しかし、クリスマスは単なる華やかなイベントではありません。本コラムでは、ミッションスクールで大切にされているクリスマスの具体的な様子をご紹介しながら、それらがどのように子どもたちの心を育てるのかを紐解いていきます。

さらに、12月14日に開催される「キリスト教学校研究会 クリスマス特別編」のご案内もいたします。この勉強会は、ミッションスクールを志望される保護者の皆さまに、クリスマスの意義を深く理解していただく貴重な機会となっています。

それでは、一緒にクリスマスの喜びを探ってみましょう。

本記事では、主にプロテスタント校におけるクリスマスの様子を念頭に置いています。
なお、カトリックでは礼拝はミサ、讃美歌は聖歌、ページェントは聖劇と呼ばれるなど、用語や考え方が異なるものがございます。

もくじ

クリスマスの本質とその意義

クリスマスの本来の意味は、イエス・キリストの誕生を心静かに待ち望み、救い主の到来を祝う喜びの時です。改めて言うまでもなく、ミッションスクールではクリスマスを学校生活の中でも特に大切にしています。祈りや感謝、隣人への愛を育む機会として、学校全体が一体となってこの時期を過ごす姿勢には、信仰の重みと希望のメッセージが感じられます。

クリスマスの由来

クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う日として、一般にもよく知られています。その物語は、2000年以上前にさかのぼります。ナザレのマリアが天使から「神の子を身ごもる」という告知を受けたのち、彼女と夫のヨセフは、ベツレヘムに向けて旅をしました。宿を探しましたがどこも満室で、ようやく体を休められる場所を見つけることができたのは馬小屋でした。そこでイエスは生まれ、飼い葉桶に寝かされたのです。この出来事は、クリスマスの中心的な物語となっています。

空には救い主の誕生を知らせる星が輝き、東方の三博士が贈り物を携えて訪れたという場面は、キリスト教文化の象徴的なイメージとして多くの人々に親しまれています。贈り物として黄金、乳香、没薬を携え、イエス・キリストのもとへむかう博士の姿は、イエスの降誕劇であるページェントの中でも印象的な場面となっています。

現代におけるクリスマスの位置づけ

現在、クリスマスは宗教を超えた普遍的なイベントとして、多くの国や文化で祝われています。街には華やかな装飾が施され、商業的なイベントとしても大きな役割を果たしています。しかし、その一方で、本来の意義が薄れてしまうことも少なくありません。

ミッションスクールでは、こうした表面的な華やかさではなく、クリスマスの本質的な意義に焦点を当てています。それは「愛と希望」、「信仰と喜び」、「救いと慰め」という普遍的な価値観を子どもたちに教えることです。このような価値観は、現代社会においても、子どもたちが大切にするべき指針として、家庭や学校で共有されていくことが望ましいものです。

キリスト教教育におけるクリスマスの重要性

ミッションスクールにおけるクリスマスは、単なる季節の行事としてではなく、キリスト教信仰の中心に位置する教育の場として重要な意義を持っています。特に、イエス・キリストのご降誕という出来事を通して、子どもたちが喜びと共に次のようなことを学びとる大切な機会となっています。

1.救いの喜びを知る機会としてのクリスマス
イエスさまが最も粗末な馬小屋でお生まれになったという事実は、神さまの救いがどのような状況においても訪れるという希望の証です。私たちが目を背けがちな貧しさや不遇な環境にこそ、神さまの愛が降り注ぎ、救いが届けられる。この教えは、表面的な成功や物質的な豊かさを超えた、信仰に生きる価値観の大切さを子どもたちに理解させるものであり、人生の指針となる真理に気づかされます。

2.神さまの深い愛を知る
クリスマスは、神さまが私たちに目を向け、最も大切なひとり子であるイエスさまをこの世に送ってくださったという、計り知れない愛を思い起こす機会です。この事実を通して、子どもたちは感謝の心を養いますが、それは単に表面的な感謝の言葉で表現されるものではありません。むしろ、神さまの愛がどれほど深いものかを感じ、心の奥底から湧き上がる喜びが感謝となって、神さまを畏れ敬う思いへと昇華されていく経験です。

3.暗闇を照らす光としての希望
イエスさまのご降誕は、闇の中を照らす光としての神さまの存在を象徴する出来事です。この光は、困難に立ち向かう力という一面的な解釈に留まらず、人間の存在そのものに新たな価値と目的を与えるものです。子どもたちにとって、クリスマスは自らの存在意義を見つめ直し、神さまの御業の中に自分の役割を見出すきっかけとなるのです。

4.祈りへと導く感謝と喜び
神さまが救い主としてのイエスさまを私たちのために送ってくださったことに対し、感謝と喜びの念を抱くことは、自然と祈りの姿勢を生み出します。クリスマスの礼拝や行事を通じて、子どもたちは日々の祈りに意味を見いだし、神さまとのつながりを実感することができます。このようにして、祈りが単なる形式ではなく、心の底から溢れる感謝を神さまに対して表現する行為として根付くのです。

クリスマスを通じて教えられるこれらの喜びのメッセージは、子どもたちが神さまとの深い関係を築き、その愛と救いの中で成長していく基盤となります。ミッションスクールでのクリスマス行事は、こうした霊的な豊かさを次世代に伝える極めて重要な役割を果たしているのです。

ミッションスクールにおけるクリスマスの紹介

ミッションスクールでは、クリスマスを単なるイベントや学校行事としてではなく、神さまの愛と救いのメッセージを子どもたちに伝える機会として大切にしています。クリスマスを待ち望むアドベント期間の間に、イエスさまのご降誕の喜びが、子どもたちの心に自然と届くよう、先生方により心温まる工夫が凝らされています。ここでは、そのようなミッションスクールでの主なクリスマスの行事や活動をご紹介します。

アドベントと祈りの時間

クリスマスに向けた「アドベント」(待降節)の期間は、子どもたちが特別な期待感と静かな祈りを持って過ごす時間です。学校では毎週1本ずつクランツに火を灯し、アドベントカレンダーを手作りするなどして、日々の祈りを一つひとつ積み重ねていきます。

この時間は、ただクリスマスの日が来るのを待つだけではありません。子どもたちが自分の心にイエスさまをお迎えする準備をする、大切な期間です。忙しい日常の中でも、このように少し立ち止まって祈ることで、神さまの御業に思いを馳せる心が育まれていきます。静かにろうそくの灯火を見つめながら、「私たちのもとに光を送ってくださる神さま」に心を向ける時間は、子どもたちの心を豊かにする経験となることでしょう。

ページェント

ミッションスクールで毎年行われるクリスマスのページェントは、子どもたちがイエスさまのご降誕の物語を演じるものです。マリアやヨセフ、羊飼い、天使、そして三博士など、それぞれの役割に思いを込めて取り組む子どもたちの姿は感動的です。柔らかな音楽とともに、神さまの救いの物語が目の前で再現される様子に、大人も子どももその光景に心を打たれることでしょう。

このページェントを通じて、子どもたちは単にイエスのご降誕を物語として学ぶのではなく、この出来事にひそむ神さまの愛に触れます。最も粗末な馬小屋に生まれたイエスさまが、世界に救いをもたらした奇跡を、自分たちの身体で体験するのです。

演じる子どもたちだけでなく、それを見る立場の子どもたちや保護者もまた、純粋な信仰の表現に心を揺さぶられます。ページェントは、クリスマスの喜びを分かち合う時間として、特別な意味を持つのです。

クリスマス礼拝

ミッションスクールのクリスマスの中核を成すのが、礼拝です。子どもたちは、神さまへの祈りと賛美を心を込めて捧げます。特にクリスマスに特有の讃美歌を、声を一つにしてお捧げするひとときは、静かな祈りの中に明るい希望の光を感じさせる瞬間です。

礼拝の中で歌われる賛美歌の一つひとつには、イエスさまのご降誕を祝う喜びが込められています。子どもたちは、自分の声や体を用いて神さまに感謝の気持ちを表現します。その経験は、日常生活の中での祈りの姿勢にもつながり、心の中に自然と神さまを迎え入れる習慣を育てます。

ミッションスクールでのクリスマスは、楽しいイベントという刹那的な盛り上がりという意味とは反対に、心静かに救い主の降誕を待ち、その喜びを胸に、子どもたち一人ひとりの心に深い信仰と愛を刻む機会です。神さまの御業を感じ、その救いの喜びに浸るひとときが、子どもたちにとってかけがえのない経験となり、また人生を支える価値観を育むのです。

クリスマスの喜びを分かち合う、「キリスト教学校勉強会」へのご案内

「キリスト教学校勉強会」へのご案内

こうしたクリスマスの意義や、ミッションスクールで大切にされているクリスマスの喜びについて、より深く知りたいとお考えの保護者の皆さまに向けて、慶楓会では「キリスト教学校研究会 クリスマス特別編」を開催いたします。

この勉強会では、東洋英和女学院小学部長 吉田 太郎 先生をお招きし、「光は暗闇の中で輝いている」という主題のもと、わたしたちに示されたクリスマスの希望についてお話しいただきます。東洋英和女学院への受験を考えておられる方、ミッションスクールへの進学を希望されている方々には、クリスマスのメッセージとともに、その背景に触れていただけるひとときになるかと存じます。クリスマスの本質に触れ、ミッションスクールの教育的価値を深く知ることができる、この特別な機会をぜひご一緒に過ごしましょう。

勉強会の詳細はこちら

結びに

クリスマスは、神さまがひとり子であるイエスさまを私たちに送ってくださった救いの喜びを祝う、特別な時間です。神さまの愛の物語を味わい、そこから学ぶことは、私たち一人ひとりが信仰を深め、日常を豊かにする大切な機会となります。ミッションスクールでのクリスマスには、この喜びを分かち合い、子どもたちの成長を支える多くの学びが詰まっています。

クリスマスは、ミッションスクールの中心にあるキリスト教教育の根幹をなす、最も大事なときです。ミッションスクールを志す方々には特に、キリスト教で大切にされる「信仰、希望、愛」について学び、その価値観を知ることは欠かせません。クリスマスはその象徴であり、キリスト教学校で大切にされている価値観を深く学びとる非常に重要な機会です。

忙しい日常の中で、つい日々の出来事に追われてしまう私たちですが、クリスマスの本質に目を向けることで、イエス・キリストをお迎えするその日までの生活や、救い主のご降誕を待ち望む子どもたちとの時間がさらに豊かになるのではないでしょうか。このコラムが、クリスマスの喜びをより深く理解する一助となれば幸いです。

神さまの愛と救いの物語に触れ、祈りと感謝の中で心静かに過ごすクリスマスをご一緒にお迎えしましょう。

執筆
慶楓会 小学校受験コース 主任 松下健太

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