【コラム】年長1年間の過ごし方

いよいよ新年長を迎え、お教室での授業の進みや宿題など、年中の時と比べて忙しい日々が始まり、どのように毎日を過ごしていけば良いのかとお悩みの方も多いと思います。

今回は、年長1年間の過ごし方について、見通しを持って過ごせるように1年間の歩みをお伝えしてまいります。

もくじ

スケジュールを確認する。

東京を中心として受験を検討されている方にとって、これから1年間のスケジュールをおおまかに確認すると、以下のようになります。

おおまかな考査関連スケジュール
11月東京 考査
12月東京 考査(二次募集、国立)
1月 
2月
3月 
4月公開行事等
5月入試情報公開
6月学校説明会
7月 
8月入試説明会
9月願書配布 埼玉・千葉 出願・面接・考査 神奈川 出願・面接
10月神奈川 面接・考査 東京 出願、面接
11月東京 考査
12月東京 考査(二次募集、国立)

当然、上の表より前後する学校もありますし、他県では異なるスケジュールになることも往々にしてあります。早い学校では、今年の試験の直後に、もう来年の試験の情報を一部公開しているというところもあります。あくまで参考までになさってください。

また、コロナ禍の中で学校側も情報発信に積極的になり、インターネットを使った学校説明会の機会が増えています。オンラインで学校説明会を配信するなどの取り組みも増えておりますので、「例年の流れがこうだから」という思い込みによらず、積極的に学校のWEBサイトを訪問するなどして、情報収集に努めてください。

情報を収集する

公式の過去問や合否判定基準の公表がない受験

小学校受験は、公式の過去問もほぼ存在せず、合否判定の基準を公にしている学校も稀です。従って、学校が発するメッセージを自分から取りに行くことが大事です。

ご自身が出身である場合や兄弟・姉妹が在校などの場合には比較的学校の様子というのは捉えやすいと思いますが、そうでない場合には、信頼できる教室や知人友人の繋がりなど、あらゆる手を尽くして正確な情報の収集に励むことが大切です。

選択肢を広げて見る重要性

特に年長の場合には、本命とする学校だけでなく併願校についても具体的に考えていかなければなりませんから、できるだけ多くの学校に足を運んでみましょう。自分の知っている学校名で安易な判断をしてはじめから切り捨ててしまうのではなく、小学校受験特有の「環境を担保する」という視点に立ち返って、幅を広く持って学校の情報を集めることが大切です。毎年、多くの方が「行ってみたら素敵な学校だった」と思われることは非常に多いです。

お子さん自身が具体的なイメージを持てるように

また、お子さんに学校の具体的な姿をイメージさせることは大切です。親御様は、いくつかの学校については何かしらの一定のイメージを持っておられることも多いと思われますが、お子様にとっては目の前の学習が、何に繋がっているのかをイメージしにくい物です。早いうちから学校の近くまで連れていくなどして、意識を育むようにしましょう。「この広い校庭で遊びたい」というような子どもらしい動機でも構わないのです。ゴールのイメージが持てないまま走ることほど、辛いものはありません。

学習の見通しを立てる

ペーパー

受験準備の筆頭はペーパーと考えて、頭を悩ませる親御様も多くいらっしゃるようです。しかしながらペーパーが伸びないからといって、ペーパーだけを取り組ませていては本末転倒です。ペーパーはあくまで具体的経験の代替物であり、日常での生活経験、遊びの経験を通じてこそ、子どもの中に概念が育まれていきます。位置関係を表す上下、左右、手前、奥、裏、表などの言葉は、親御様自身が日常の中で意識し、お子様への声かけの際に用いるようにしましょう。またお手伝いを通じて物を配ったり、分けたり、対応させたりする練習も必要です。移動の時間を使って、しりとりを筆頭にした言葉遊びに取り組み、身近な公園や出かけた先などで動植物に触れながら名前を教えていく地道な取り組みも必要です。
時折、ペーパー「だけ」が物凄くできる、というお子さんがいらっしゃいますが、具体的な経験と結びついていない場合があります。少し踏み込んで尋ねるととんちんかんな答えを返してきたりして、いびつな、または形式的な知識を身につけてしまっていることもあるので注意が必要です。

運動

運動については特に継続的な取り組みが大切です。小さいお子様は、身体的成長に伴ってできるようになることも増えてきます。これまで苦手だと思っていた事柄も、全身の機能が育つことに伴い、意外と苦もなく乗り越えられることも多いものです。「うちの子は○○は苦手だから」と決めてかかることをせずに、何度もチャレンジの機会を確保してあげましょう。その際に大切なことは、親御様も一緒に取り組むということです。難関共学校を目指されるご家庭などは、お父様と毎日欠かさず早朝ランニングを続けた、という方も少なくありません。

巧緻性

巧緻性(絵画、造形)については、ただ作るだけでなく「自己表現」としての作品づくりを心がけましょう。やみくもに市販の「過去問集」に掲載されているような課題の絵や工作に取り組むのではなく、お子様が体験したり興味を持っている事柄を軸にして、絵や工作の主題を決め、さらに描いたり作ったものについて自分の言葉で説明できるようにしましょう、そのためには、ご両親が興味を持っている姿勢をお子様に示し、たくさん質問してあげるようにしてください。どのような話し方をすれば相手に伝わるのかを考えさせるために、先回りして意図を汲み取ってあげるのではなく、他者に伝わる言い方を意識させると良いです。

生活巧緻性

生活巧緻性と呼ばれることのある領域があります。衣服を畳んだり着脱したりする、雑巾やほうき・ちりとりといった道具を用いて掃除をする、食事の準備や後片付けのお手伝いをするなどといった、身辺の自立につながる日々の中での生活技能が養われているかを見るものです。これも、日常の中で意識的にお子様に取り組ませる働きかけが必要です。親がやった方が早いことも、お子様が自分自身の力でできるように教え、励まし、見守るようにせねばなりません。そのためには、時間的にも精神的にも余裕を持って子育てにあたることが必要になります。また、年長児にとって、特に季節の行事については、考査を目標にして考えると最後の機会になります。一つ一つの行事に対して丁寧に臨み、お子様が体験を通じて学ぶ時間を大切に確保してあげましょう。

受験の準備は、一朝一夕にはならず

当たり前のことですが、受験の準備は、短期間ではなりません。特に伝統校を志願される場合にはお子さんの所作や振る舞い、ご家庭の文化や雰囲気がたいへんよく見られます。メッキを貼るような上辺の取り繕いではなく、日々の丁寧な暮らしを通じて、お子様が心身両面から育まれ、「このご家庭ならお受け入れして大丈夫」という安心感を、学校の先生方に抱いていただくことが重要です。

子育て、教育は、効率性やコスパの良さといった考え方からは程遠いところにある物です。毎日の、目立たず地道で、時には愚直とも言えるほどの真摯な積み重ねが、真の成果を生み出します。

執筆
小学校受験コース 主任講師 松下健太

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