【コラム】行動を通じて運命を切り開こう

慶楓会 小学校受験コース主任 松下健太です。

2023年4月10日、慶楓会白金台教室を新規開設いたしました。

2018年に南麻布の閑静な住宅街にて産声を上げた慶楓会は、その後、2021年4月に広尾ガーデンヒルズ教室を開室し、この度の白金台教室は3番目の教室となります。白金台教室は東京メトロ白金台駅に隣接、目黒通りに面した好立地の新築マンション1階及び2階に所在し、内装工事段階より大変多くの方からのご注目をいただきました。

多くの方に関心を寄せていただいていることに感謝を申し上げるとともに、慶楓会が創立当初より大切にしている少人数の温かな家族的雰囲気に基づく運営を継続してまいりますことをお約束いたします。

今回のコラムでは、現在多数の方から頂いておりますお問い合わせの際に、大変多くいただくご質問に関して、お答えを含みながら、当会の考える受験対策にあたってのご姿勢についてお伝えしたいと存じます。

慶楓会で育みたい力と、多く寄せられるお悩み

慶楓会では、幼児教育を通じて志望園・志望校の合格だけでなく、入園・入学後も伸び続けていくための本質的な力を育むことを大切にしております。

ご指導にあたるのは、名門私立幼稚園や名門私立小学校の元教諭、数多くの合格実績を誇り私学の文化を深く理解しているベテランの講師といった一流の講師陣であり、高い専門性に基づいて皆様を手厚くご支援申し上げております。今後も皆様のご期待に一層お応えするべく、さらに教育内容の充実に尽力してまいります。

さて、白金台教室開室に伴い、他塾との並行受講や短期集中の受験対策を行いたい方に向けた「慶楓会Light」という新コースを小学校受験コースの中でスタートすることもあり、この4月は多くの方と新規のご面談の機会をいただきました。

以前より、新規ご入会のご面談におきまして、「我が家は何もコネがなくて……」「両親とも地方出身なのですが、そんな我が家でも受験して意味がありますか?」という率直なご相談をいただくことが多くございます。

こうしたご質問は、幼児の受験を志される方々にとって永遠のお悩みのようです。

卒業生が我が子を母校に通わせたいと考えるのは当然

そもそも、私立小学校の中には、附属一貫校を『卒業生の子弟のための学校である』と位置づけている学校もありますし、そこまではっきりとした姿勢を学校側が打ち出しておらずとも、ある学校の卒業生が我が子にも自身が育ってきた環境と同じ教育的価値観の下で子育てをした結果、ご自身の出身校に入学させようとするのは自然な流れです。

伝統ある私学ほど、その学校で育ってきた方々が、その学校に対する厚い信頼を寄せ、結果としてご自身のお子様にも同じ環境での教育を望むという構図は当然の帰結です。

したがって、受験者層の中でも学校のことを深く理解している出身者が、その学校の価値を十分に理解した上で受験に臨むわけであり、その結果として合格にも結びつきやすいことはどなたにもご理解いただけると思います。

そうした意味において、関係者有利に見える結果が生じていることは事実です。

先のようなご相談に対しては毎度、たった今述べた趣旨のご説明を繰り返しております。

説明に対するご反応

こうしたご説明をお聞きになった方のうち、いく人かの方には「歴史や伝統の積み重ねに裏打ちされた学校の文化を真摯に学ぼうとする姿勢を辛抱強く継続することにより、当該校の末席に謙虚に座らせていただくための努力を重ねる」というご姿勢の大切さを理解していただけます。

ところがその一方で、やはりごく一部の方には以前からコラムで取り上げて警鐘を鳴らしておりますような

【確実な成果が見込まれることにのみ注力したい】(やっても見込みのないことならばやりたくない)

【最も効率的な方法で、最高の結果を得たい】(コストパフォーマンスを最大化したい)

というご姿勢が透けて見えることもあり、お子様が二度と戻らない大切な幼少期に「親のエゴに付き合わされている」ことが容易に推察され、ご家庭の歩もうとされている道筋に危惧を抱くこともしばしばです。

全てに安易な「意味」を求めることへの心配

少しでも結果が確からしいことを求め、可視化できる成果を最小の労力で最大化しようとする姿、あるいは効率性を至上命題化ないし絶対視する物事の見方が染みついてしまっている親御様のお話を伺うと、お子様にもその価値観が伝播されるのでは無いかと心配を抱いてしまうこともしばしばでございます。

教師に対しても無邪気さを装い「それって何の意味があるんですかぁ?」とニヤニヤして「質問」をするような、すべてを自分にとって意味があるかないかの物差しでのみ測ろうとする考え方、そしてその物差しの妥当性に疑念を挟もうとしない態度を招きかねず、親御様のご姿勢がお子様の視野をたいへん狭窄なものに陥らせてしまうのではないかと恐れています。

全てに意味があるかないかを問う姿勢は、裏を返せば自分の理解が及ぶ範疇でしか物事の是非を判断できない、非常に狭い思考の枠組みです。

こうした姿勢を貫く限り、不確定な要素を一旦保留にしながらでも全力で取り組んだ先にしか見えない新地平には永久に辿り着けません。

我が身を常に基準に置く自己中心的で他者意識のない振る舞いは、特に伝統校で大切にされている価値観とは対極にあります。

行動のみがギャップを埋める

立ち返って私学の受験を考えようとする際に、仮に他者との比較における不足(例えば、世間で言われる縁故のようなものも含めて)を感じたとするならば、全力を尽くすことに「意味があるんですか?」と問うている暇は一切なく、そもそもの立脚点において、自らが置かれている立場や環境を謙虚に受け止めた上で、その瞬間からでも行動を積み重ねていくしかギャップを埋める手立てはないはずです。

行動を起こす前からあれこれと理屈を捏ねて時には自己弁護の材料にさえし、うまくいかなかったときに備えた保険のように「どうせ自分達のような”庶民”が努力してもはじめから意味はないのだ」と言い訳を述べ、本来その瞬間からでもできるはずのことをしないのは本当に残念なことです。

あるミュージカル作品のメッセージ

ここまでお読みいただいた方には唐突に感じられるかもしれませんが、先日私が観劇したミュージカル作品を紹介しようと思います。その作品の名前は、『マチルダ』といいます。

私事ですが、今からおよそ8年ほど前に、NYのブロードウェイで初めてこのミュージカルを観た際にそのあまりの素晴らしさに衝撃を受け、いつか日本でも公演されることを待ち望んでいたところ、今年の3月より日本公演が行われ、本コラム記事が公開される時点ではすでに日本公演を3回は観ている計算です。

このミュージカルの原作は、『チャーリーとチョコレート工場』でも有名なイギリスの児童文学作家のロアルド・ダールによる『マチルダは小さな大天才』(原題:Matilda)です。その内容は、才能あふれる5歳の女の子が、子の非凡性に全く関心のない両親に虐げられながらもウィットに富んだ仕返しを繰り広げ、学校でも恐怖により子どもを支配しようとする怪力女校長に立ち向かう、痛快な作品となっています。

ミュージカルナンバーのうち代表曲の「Naughty」には、世の中の不公平や不条理に対して、行動を通じて強く立ち向かう考え方が表現されています。日本語版ミュージカル用に訳された歌詞をそのままここに転記することは著作権保護の観点からできないので、原曲のうち私が強いメッセージを受け取った部分を私なりに日本語訳にしてみると、以下の通りです。

人生は公平でないと気付いたからと言って

 それは笑って耐えることを意味しているんじゃない

 不公平をそのまま引き受けてたら何も変わらない

 たとえ小さくてもできることはたくさんある

 何もしないのは、それでいいと言っているのと同じ

 それは正しくない!

ミュージカル『マチルダ』 「Naughty」より

自分たちの運命を、自分たちの力で切り開いていく

不公平に対して不平を述べる人ほど、行動を起こしていません。

もちろんここで言う行動とは、自らが何も変わろうとしないのに権利の主張だけを声高に叫ぶ姿を指しているのではありません。

自他の違いを認識した上で、自らに不足するものがあれば、具体的な行動によってそれらの違いを埋めていく、あるいは乗り越えていくため、自らを鍛えて鼓舞する、積極的で建設的な行動のことです。

不平や不満、不公平だと文句を垂れる前に、自分にできることを精一杯行なって毎日を積み重ねていくことの重要性について、このミュージカル作品から大人も学びとることができると感じます。

受験においても、「はじめから決まっていることだから」と決めつけて、行動しないことの言い訳にするのではなく、「自分たちの運命を、自分たちの力で切り開いていくのだ」という覚悟を伴う行動を日常に据えていただきたいと願っております。


小学校受験コース 主任講師 松下健太

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