【コラム】夏の過ごし方
心におさめる
今年は猛暑の6月、酷暑の7月と、梅雨明けがつい先日とは到底思えない夏真っ盛りでございます。遥かかなたのわが身の経験を振り返りましても、この時期学校説明会、見学会、私学フェアなど、「犬も歩けば棒に当たる」、歩けば思わぬ幸運に出会うことのたとえの心境で、手あたり次第とにかく足繁く通いました。少しでも何かの足しになればと願い、汗だくの受験用ワンピースは洗濯機でガラガラと洗い、今思えばかなり余裕のない、丁寧な日常とは程遠い対極にある日常であったと、思い出すのも恥ずかしい限りです。
そのような慌ただしい毎日のなかで、唯一心を満たしてくれる時間は寝る前の読書の時間でした。3度のご飯より本が好きな私にとりまして、この夏に心の赴くままに読み返した本の中に、「赤毛のアン」があります。特に好きな場面はジム船長の場面で、深い含蓄のある言葉には、毎回その時の自身の心持ちの中で衝撃を受けます。
「みんなの幸福が見えます。だが、苦労も心配も悲しみもくることでしょう。宮殿であれ、小さな夢の家であれ、どんな家でもそれを閉めだすわけにはいきません。だが、愛と信頼をとりそろえて打ち向かえば、この二つを羅針盤と水先案内にすればどんな嵐でも必ず切り抜けられる」と、いうような内容です。
幸福は決して当然ではなく、ずっと続くものでもなく、されど、不幸も同様である。と小さいころに両親に教えられた言葉と重なります。
受験においても、思いがけない理不尽な出来事、思い描いていた現実と重ならない現状など、先がわからない不安は尽きませんが、だからこそ、いったん心におさめる静けさが肝要かと存じます。「この道が正しいかどうかもわからないけれど、信じて暗闇を走り続けている心境です。」と、語ってくれた合格者のお母様の言葉をこの時期になると思い出します。
近道
説明会、体験保育、園舎見学など、実際に足を運ぶ機会が増えてまいりました。憧れの園に足を運び、思いが一層強くなった半面、現実を突きつけられ、焦りから様々なことに手を広げ、お子様の様子が落ち着かなくなるのもこの時期と感じています。
信頼のおける場所で、変わらぬ日常を、愛と信頼と感謝を持って、規則正しく毎日を生きていくことが、実り多い秋への一番の近道と感じております。
心得
心得1.日頃の授業も含めて、出来た、出来ないに、一喜一憂しない
心得2.幼稚園受験を目指した理由、原点に立ち返る
どこに入りたい、合格したいではなく、お子様が誕生した時の喜び、どのような人に育ってほしいか、願いをもう一度ご家族で確認する
心得3.目標に向かって、やれることは何でも
正しいか、正しくないかではなく、今与えられたことに最善を尽くす。
目には見えない道を信じて歩き続ける。
執筆
幼稚園受験コース 主任講師 佐藤
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