【コラム】なぜ幼児教室に通うのか

もくじ

実りの秋到来

今年は春先から暑さが厳しく猛暑の夏がやっと終わりを告げたかと思いきや、秋は足早に通り過ぎようとしている気持ちすら致します。この時期は深まりゆく秋を楽しみつつ豊かで穏やかな日々をゆっくりと振り返り過ごすのが例年ではありましたが、家庭事情により今年は少し趣がことなり胸に重いものがつかえており、心の底から楽しむ余裕がないのが残念です。

先月のコラムでは、お恥ずかしながら次女の文章が掲載されましたが、自分探しの道に邁進しております。
ため息が日ごとに大きくなり、時折涙目になる様子を見ないふりをし、「泣いている場合じゃないだろう」と叱咤激励を飛ばしたくなるのをぐっと飲みこみ、ただただ世話をやく人に徹する毎日です。

今、目の前のことは前途洋々とは言い難い苦難の道のようではありますが、これからの未来は前途洋々であることは疑いのない真実であると、実りの秋の到来を願い伝える日々です。

幼児教室の意義

志望園合格をするために受験で一番必要なことは、ご両親様の学歴、職歴、地位、財産なども、もちろん大切な要素の一つではありますが、それが備わっているから絶対合格というわけでもなく、それよりも大事なことは、ご家庭のしつけの価値観、お子様が年齢に相応しい一人でやってみるという自己達成感が家庭教育の中で育まれているかが大きな要素を占めていると考えています。

ではこの自己達成感を育むためにはどうしたら良いのか、お父様お母様という安心の砦がない中でお子様自身が集団社会の中で自ら考えやりぬく力を育むことです。

ゆえに、合格するための付け焼刃なハウツーではなく、育ちの本質を各ご家庭で実践するための学びの場として幼児教室に通うのだと私は考えています。

願書添削、親子面接練習が始まりますと、「どういう方向性が合格をしますか。その通り答えます。その通り書きます。」と時にお話しなさるご家庭もあります。もちろん長年の経験値の合格家庭のデータから方向性を指し示すことは可能ではありますが、その方向性を見出した、結論に至る道のりは各ご家庭ならではの色に染め上げていかなければならないと私は考えております。この苦難の試行錯誤なくして、きれいな結論だけでは合格は難しいと感じています。

幼児教室の役割

現在慶楓会には1歳のモンテッソーリ母子クラスのお友達から上は小学校受験のお兄様お姉様まで、様々な学年のお友達が在籍しております。

モンテッソーリ母子クラスや総合クラスに在籍の所謂受験学年ではないお子様の授業では、笑っていても泣いていても、たとえ駄々をこねていても、「今日はそんな気分なのね。仕方ない。よしよし。」と私が多くの癒しをもらう時間となっており心から楽しんで授業をさせて頂いております。

自由に遊びたい、動きたいのに、みんなと一緒に体操やリトミック、制作、時に意に添わないお仕事遊びなど、1歳のお子様には困難を極めることもあります。

もちろんたった1歳、2歳の小さなお子様ですから、自由にさせてあげたいと思うことは決して間違いではなく普通の認識とも捉えています。

その上で、せっかく幼児教室に通っているのだから、普段のお家とは異なるいつも通りではない練習をしてみようか。と、初めてへのチャレンジを喜びをもって受け止めてみてほしいと私は考えています。

他のお子様と一緒に出来る、出来ない、先生のお話を聞ける、聞けない、待てる、待てないなど、正しいか、正しくないかだけに縛られてしまうと母子共に心が苦しく切なく感じられるのではないでしょうか。同じ親として自らも通ってきた道であり、痛いほどお気持ちがわかります。

お恥ずかしながら、娘たちの受験の時は、世の中にこんな世界があったのかと、驚きの連続だったことを今でも記憶しています。そして、みんなと同じように出来なければならない。に縛られた苦い経験をした母親だからこそ、目に見えては出来ているように見えなくとも、環境から見聞きし学んでいるはずであるとわが子を信じる気持ちが生まれ、私が救われたことを鮮明に覚えています。

幼児教室とは、今までと異なる価値観を知り受け入れ、ご両親様の多様な引き出しを増やす学びの場であり、子供の学び同様に親の学びの場であると心のどこかにおいて頂けますと幸いです。 「親が変われば子が変わる」ということわざ言葉があるように、ご両親様が気持ちを楽にもてるようになりますと、お子様は見違えるように内なる自ら育つ力の賜物を輝かせることは言うまでもありません。

積み重ね

受験学年になりますと、完全母子分離で授業後半の講評時間に本日のご様子をお話致します。授業内容も大切ですが、とりとめもない話のなかにこそ多くの要点があると感じています。自身を振り返りましても、授業内容はプリントを見ればおおよそ見当がつきますが、先生の他愛もないお話の中に母親としての多くの学びがあり、毎回とても楽しみにしていたのを記憶しています。

その中で今でも記憶していることの一つに、お教室は毎週行く。泣いてもぐずっても、時に行きたくないと暴れようと、静かな声音で、「先生とのお約束なのよ」を繰り返し伝えるということを、実際次女の時には多々あり、実践しておりました。

これはある意味、次女の為というより、母親の私の忍耐力をつけるための最適な事例であったと今でも感謝しています。

泣かれればかばいたくなり、わがことのように自身が涙を流すのは母親として当然の感情であると思います。だからこそ、静かな声音で、子供には泣こうと喚こうとお約束は守るものであると教える毅然とした態度が、お子様の小さな我慢の練習であり、母親は自身の忍耐力の鍛錬であり、他者に優しくなるためには自身が強くなければならない。というマリア様の似姿に一歩ずつ近づいていくのだと感じています。

「かわいそう」ではなく「頑張っているね」と声をかけ、全ての現象には必ず意味があり、恐れずに受け止め、超える努力を怠らない人でありたいと、小さなお子様を抱え日々努力を重ねるお母様方に力強く励まされております。

執筆
慶楓会幼稚園受験主任講師 佐藤浩子

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