【コラム】「うちの子に合う学校」から「学校に合うご家庭」に(志望校の選び方)

慶楓会 小学校受験コース担当講師 吉岡未来です。

4月に新しい学年へとご進級されてから、早くも2ヶ月が経とうとしています。「いよいよ今年は受験」というご家庭にとっては、「新年長」から正式な「年長」になられたことで、気持ちの引き締まる2ヶ月をお過ごしでいらしたことでしょう。

本格的に10月、11月の入学試験を意識し、出願のための準備を始めるご家庭にとって、実際に受験する学校選びは最も頭を悩ませることの一つかと存じます。年中・年少のご家庭も、いよいよ志望校を定め、学校見学や説明会などに足を運び出す時期となりました。

そこで今回のコラムでは、志望校を選ぶ際に望まれる姿勢についてお伝えさせていただきます。

もくじ

入学を願い出る姿勢を忘れずに

志望校を選ぶ際、多くのご家庭は「うちの子に合う学校に通わせたい」とおっしゃいます。一見、当然のお考えのように思われますが、実は忘れてはならない重要な観点があります。それは、数ある学校の中からご家庭が受験する学校を選ぶ一方で、当然ながら学校側もたくさんの受験生の中から入学を許可するご家庭を選ぶということです。

選ぶ主体が、ご家庭または学校のいずれかのみにあるのではなく、双方からの視点になるということを忘れてしまうと、願書や面接でも横柄な姿勢が透けてしまうことになります。特に、たくさんの志願者を集める伝統校ほど、ご家庭側が入学を願い出るという姿勢を忘れないことが大切です。

学校に選んでいただけるような子ども、ご家庭としてふさわしい姿を目指し、真摯でひたむきな日々を送ることが合格への道です。どんなに懸命に志望校を選定したとしても、これを怠っていては結果として合格に繋がらず、本末転倒です。我が子に合う志望校を考えるあまりに、入学を願い出る姿勢を忘れることのないよう、心掛けましょう。

学校側の立場になって考えよう

また、「我が子の良さを理解してくれる学校に通わせたい」とおっしゃる方もいます。こういった方は、「子どもを型にはめることをしたくない」「伸び伸びと個性を発揮できる毎日を過ごさせたい」といったことを併せておっしゃいます。確かにそのお考え自体は、誰も否定することのできない理想と言えます。

しかしながら、そうした理想をあえて追求するまでもなく、ほぼ全ての学校において個性尊重が謳われており、むしろ子どもの個性を一切認めない学校など皆無でしょう。その一方で、学校ごとに積み重ねられてきた伝統の枠組みの中での振る舞いを求められることが現実です。ありのままの姿を評価して欲しいというのは、ご家庭側が学校側に寄せていく努力をないがしろにしていると捉えられるため、注意が必要です。

そのため、まずは自分たちがそのコミュニティの中で適切な一員として認めていただけるよう努力を重ね、受け入れていただけて初めて自分たちのことを語る資格が生まれてくる、というくらいの心持ちでいる方が良いかもしれません。自分が学校側の人間であった場合、各学校が大切にしている価値観よりも、己の考えを優先すると公言するご家庭に、諸手をあげて入学して欲しいと思いますでしょうか?

志願者を選ぶ学校側の視点

学校側は、お預かりするお子様やご家庭と、向こう何年間にも渡って一緒に歩んでいくことができるか、ということを考えています。また、目の前のことだけでなく、これまで先人が築いてきた伝統を堅持していくことを大切にしており、入学考査はその最も新しい代を形成するメンバーを選ぶものとして、OB・OGや理事等の役職者を含む関係者の厳しい目も注がれています。

そうした一種の重圧のもとに、厳正に入学考査を実施する以上、自分たちを主語とするのではなく、学校側への理解を第一にしてくれるご家庭を選ぶのは、当然のことです。もちろん、ご家庭の考えと全く異なる学校に無理をしてまで合わせていく必要はありません。しかし、先に述べたように、志望校を選ぶというよりも、自分たちを選んでいただくという姿勢を忘れずに考えていくことは、志望校を考える上で非常に重要な視点と言えるでしょう。

志望校を選ぶ際には、お子様の未来を描いて幸せになる道を探ることに加え、志願者を選ぶ学校側の視点に立って自分たちを見つめ直し、その学校に相応しいかどうか、日々の生活をどのように送るべきかを検討することが大切です。

「ダメ元」のみの受験は避けよう

以上のことを意識した上で、実際に学校を選ぶ際には、例えば共学校と男女別学、宗教の有無、一貫校または外部受験を前提とした学校などといった様々な観点に基づくと、ある程度方向性が見えてきます。

しかしながら、中にはそのような観点には一切目もくれず、「我が家は代々○○出身のため、この学校しか受けない」「有名校だけ受けて、駄目なら公立小学校で良い」「ダメ元で受けて、落ちたら中学受験で再挑戦する」という方もいらっしゃいます。

特に、慶應義塾を志す方にこの傾向は顕著ですが、本来自由に遊んで過ごす幼児期に懸命な努力を重ねているお子様が、いざ受験が終わり「自分はどこの学校にも選ばれなかった」という劣等感を抱えたまま小学校へ進むことのないよう、今一度志望校を見直していただきたく存じます。受験はいわば、大人の都合に子どもを巻き込むものであり、「全部落ちたら公立で良い」といった、お子様の努力を軽視するようなお考えは改めるべきでしょう。

また、中学受験は偏差値を上げるためのテクニカルな訓練や暗記が中心となり、3~4年生、都心ではさらに低学年のうちから6年生までの数年間に渡り、夜遅くまで塾通いとなります。一方の小学校受験は、塾通いは長くても3年間、尚且つ学習内容は初等教育の導入として全員が学ぶべき基礎的・基本的な事項が中心となります。これに比べると、中学受験は親子共にその負担が大幅に増えることが分かります。

幼児の受験戦略で最重要な点は、成功経験を持たせることです。いわゆる「ダメ元」で受験して全滅となり、マイナス感情を引きずったまま小学校生活に突入し、貴重な6年間を中学受験に費やすことになるのは、避けるべきでしょう。

夏の過ごし方が合否を左右する

受験生にとって、夏は天王山。この先に迫りゆく夏の過ごし方が、秋の考査を大きく左右します。年中・年少の子どもたちにとっても、この夏の過ごし方が大変重要になります。というのも、幼稚園や保育園における学齢は3月から4月にかけて切り替わる一方で、受験を念頭に置いた場合は11月から「新年長」「新年中」に進級することもあり、現在年中のご家庭は実質的な受験準備の期間が残り1年余りとなるためです。

そのため、この時期から学校説明会や見学会、私学フェアなどに積極的に足を運ぶためにも、夏に向けて学校に選んでいただけるご家庭へと成長するための努力を積み重ね、志望校を固めていく必要があります。厳しい言い方になりますが、もはや日頃の授業で子どもの出来た、出来ないに一喜一憂したり、「やりたがらないから」などの理由で学習を怠ったりしている場合ではないということをお伝えしておきます。

また、他人の意見に流されて志望校をコロコロと変えたり、まだ年端も行かない子どもに選ばせようとしたりせず、今一度受験を目指した理由とその原点に立ち返った上で志望校をご検討いただきたく存じます。どこに入りたい、合格したいではなく、お子様が誕生した時の喜びや、どのような人に育ってほしいかなど、親としての願いをご家族で再確認してみてください。

そして、ここからは立ち止まることなく、お子様の幸せという目標に向かって「できることは何でもする」という積極的な姿勢で臨まれてください。今の環境や行いが正しいか、正しくないかという小さなことに囚われ、自分たちの価値観に縛られるのではなく、与えられたことに最善を尽くし、目には見えない道を信じて歩き続ける謙虚な姿勢こそ、名門私立の学校から選ばれるご家庭の姿なのです。

その上で、「学校に合うご家庭」であることをアピールするためには、願書の表現が非常に重要となります。その一助となるよう、慶楓会では何百枚の中で埋没しない願書に仕上げるための機会として、下記のセミナーを開催いたします。合格者の願書を知り尽くした元私立小学校教諭願書を書く時の注意点といった基本事項に加え、ミッションスクールや非宗教校などの各学校に選ばれる願書のポイントをお伝えいたします。ここまで熱心にコラムをお読みくださった方には、是非ともご参加いただければと存じます。

6/19(水)、6/29(土)にて開催いたします。ご希望の方は、是非お早めにお申し込みください。

お問い合わせは、公式LINEのご登録より、お気軽に行っていただけます。日々迫りゆく受験や子育て、志望校選びや願書等の準備にご不安を抱えていらっしゃる方には、少しでもお悩みが晴れるようお力添えさせていただきたいと考えております。

執筆
慶楓会 小学校受験コース担当講師 吉岡未来

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