【コラム】絵画・造形の試験で評価される作品とそのポイント

皆さん、こんにちは。慶楓会小学校受験コースの絵画造形主任、森住香です。

今回は、小学校受験における絵画・造形の試験で評価される作品のポイントについてお話ししたいと思います。
絵画や造形の試験は、子どもたちの創造力や表現力を評価する大切な機会です。では、具体的にどのような点が評価されるのでしょうか?

もくじ

評価ポイント

1.創造力と独創性

絵画や造形の試験で最も重要視されるのは、子どもたちの創造力と独創性です。これは、与えられたテーマに対してどれだけ自分なりのアイデアを表現できるかという点です。他の子どもたちと同じような作品を作るのではなく、自分だけの独特な視点やアプローチを持った作品が高く評価されます。例えば、同じ「花」を描くにしても、その花の形や色、背景の設定など、個性的な発想が感じられる作品が求められます。ただし、奇抜であれば良いということではなく、その子らしいものの見方が表れていることが何よりも大切です。

2. 技術

次に重要なのは、技術です。これは、基本的な描画技術や造形技術の習得度合いを評価するものです。例えば、絵を描く際の線の使い方や色の塗り方、形の捉え方などが含まれます。また、造形においては、素材の選び方や組み合わせ方、立体物の作り方などが評価されます。技術的な面での評価は、普段からの練習や経験がものを言いますので、日々のトレーニングが重要です。とは言え、仕上がりの見栄えが優れていればそれだけで良いということではなく、普段から描画や造形に親しんでいることがわかる、用具の扱い方なども大切です。

3. 表現力と感性

表現力と感性は、大切な評価ポイントです。これは、作品を通じて自分の感じたことや思ったことをどれだけ豊かに表現できているかを評価するものです。絵や造形は、単なる技術の披露だけではなく、自分の内面的な感情や考えを視覚的に表現する手段でもあります。例えば、色の選び方や形の組み合わせ、全体の構成などに自分の感性が表れている作品は、高い評価を受けやすいです。作品には、常識的・一般的な色や形、大きさが表されていることが適している場合と、自分なりの感性で大胆に対象を捉え直して表現することが適している場合があることに留意が必要です。

4. テーマの理解と解釈

与えられたテーマの理解と解釈も評価の対象となります。これは、テーマに対してどれだけ深く考え、それをどのように解釈して作品に反映させたかを評価するものです。テーマが「家族」ならば、家族の絆や日常の風景をどのように捉え、それをどのように表現するかが問われます。テーマに対する理解が深ければ深いほど、作品の説得力も増し、高評価につながります。この際、幼児の生活や実感からかけ離れた内容となっていることは避けるべきです。試験対策のためだけに覚え込んだような特殊な生き物や対象について、何を聞かれても同じことを答えてしまうような丸暗記型、ハリボテ式の理解は最も好ましくないあり方です。

5. 総合的な完成度と言語表現

最後に、作品全体の完成度も重要な評価ポイントです。これは、作品の仕上がりや全体のバランス、細部へのこだわりなどを評価するものです。どれだけ独創的で技術的に優れた作品でも、仕上がりが雑だったり、全体のバランスが崩れていたりすると、評価が下がってしまいます。全体の構成をよく考え、細部にまで気を配った丁寧な仕上げが求められます。

さらに、それらについて問われたときに、自ら表現したかった事柄について、適切に言語で説明できる力が必要です。芸術家の作品のように、難解なテーマ設定であるわけではないので、幼児の生活に密接に結びついた内容を、絵や作品、言葉で適切に他者に伝えられることが必要とされます。

子どもたちへのアドバイス

ここまで、絵画・造形の試験で評価されるポイントについてお話ししてきましたが、ここで子どもたちへのアドバイスをいくつかご紹介します。

  1. 毎日描く・作る習慣を持つ: 絵や造形は、継続的な練習が大切です。毎日少しでも良いので、描いたり作ったりする習慣を持ちましょう。
  2. 観察力を養う: 周りのものをよく観察することが、創造力や表現力を高める鍵となります。自然や日常の風景、人々の表情など、さまざまなものをよく見て、その魅力を発見する力を養いましょう。
  3. 自由に表現する勇気を持つ: 他の人と同じように描くのではなく、自分の感じたままに自由に表現する勇気を持ちましょう。自分だけの視点やアイデアを大切にすることが、独創的な作品を生み出す原動力となります。
  4. 失敗を恐れない: 絵や造形では、失敗を恐れずにチャレンジすることが大切です。失敗から学び、次に生かすことで、どんどん上達していきます。

保護者の皆様へ

保護者の皆様には、お子様が絵や造形を楽しんで取り組める環境を整えていただくことをお願いしたいと思います。お子様の作品に対して、励ましの言葉をかけることや、共感を示すことが、お子様の自信とやる気を引き出す大きな力となります。また、作品を通じてお子様とコミュニケーションを図り、一緒に成長を喜ぶ時間を持っていただければと思います。

小学校受験の絵画・造形の試験で評価されること

小学校受験の絵画・造形の試験では、創造力や技術、表現力、テーマの理解など、さまざまな要素が評価されます。これらのポイントを意識して、日々の練習や作品作りに取り組むことで、確実に実力を伸ばしていくことができます。何よりも大切なのは、お子様が絵や造形を楽しみ、自分らしい表現をすることです。そのためのサポートを、私たち慶楓会の講師一同が全力で行ってまいります。

しかしながら、お子様の成長と、受験の成功には、保護者の方のご理解とご協力が欠かせません。

最後まで子どもたちがのびのびと自らを発揮して、その結果として栄光を掴むことができるよう、お祈りしています。


慶楓会 小学校受験コース 絵画造形主任 森住香

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