【コラム】慶應義塾幼稚舎に必要な基礎運動能力
歩くことの大切さ~基礎運動能力は「歩き」から~
受験準備として「縄跳び」や「ラダー」「くま歩き」といった運動を練習するお子さまは多いですが、その基盤にあるのは、実はとてもシンプルな動きである「歩くこと」です。歩くことは、日常的に最も多く行う動作であり、全ての運動の土台となるものです。しかし、正しい歩き方が身についていない場合、後の「走る」「跳ぶ」といった運動能力や、受験に必要な特定の動きの習得に時間がかかることがあります。
ここでは、「歩くこと」の重要性と、年少さん以降に意識して取り組むべき歩き方について解説します。
なぜ「歩くこと」が重要なのか?
① 運動能力の基盤をつくる
歩くことは、体の多くの筋肉を使う全身運動です。特に、足腰を鍛えるためには「しっかりと足を使った歩き」が大切です。股関節や足の裏を意識して歩くことで、姿勢が良くなり、自然と体幹やバランス感覚も養われます。
② 生活の中で最も自然に取り組める運動
縄跳びやラダー、くま歩きのような特定の動きは練習が必要ですが、歩くことは日常生活で自然に行う動作です。習慣化しやすいため、日々の生活で運動不足を防ぎ、健康な体を維持することができます。
③ 正しい動きは、他の運動にも直結
歩く動作の中で股関節を正しく動かし、足の裏をしっかり使えるようになると、走る動作や跳ぶ動作がスムーズになります。逆に、足の裏をひきずるような歩き方や姿勢の悪い歩き方が癖になっていると、縄跳びやくま歩き、さらには運動試験でのパフォーマンスにも影響します。
年少さんから意識したい「歩き方」
① 股関節を使ってしっかり歩く
正しい歩き方のポイントは、股関節から足を持ち上げる動きにあります。膝だけを曲げて歩く癖がついていると、動きが不自然になり、脚全体の筋肉をバランス良く使うことが難しくなります。
- 意識すること
- 歩くときに太ももを軽く持ち上げるように意識する。
- 足の裏全体を地面につけて、しっかり踏み込む。
- 膝を柔らかく使い、自然な足運びを心がける。
- 遊びの中で取り入れる方法
- 「大股歩きごっこ」
少し大きく足を広げて歩く練習を、遊び感覚で行います。 - 「電車ごっこ」
親が前を歩き、お子さんが後ろについて股関節を意識して歩きます。
- 「大股歩きごっこ」
② 足の裏をしっかり使う
足の裏には、体を支えるための重要な筋肉が集まっています。足の裏全体を使って踏み込むことで、姿勢が安定し、走る・跳ぶ動きにも良い影響を与えます。
- 意識すること
- 地面を「かかと」「土踏まず」「つま先」で順番に踏みしめる感覚を覚える。
- 靴底が極端に片方だけすり減る場合は、歩き方が偏っている可能性を考える。
- 具体的な練習法
- 裸足で歩く:家の中や公園の芝生などで裸足で歩くと、足の裏全体を使う感覚をつかみやすくなります。
- 線の上を歩く練習:公園や道路の白線など、まっすぐな線の上を歩き、足運びを意識します。
③ 正しい姿勢を意識する
歩くときの姿勢が良くないと、体の使い方に偏りが生じ、他の運動にも悪影響を及ぼします。
- 正しい姿勢のポイント
- 背筋を伸ばし、肩を軽く下げる。
- 頭は上に引っ張られているようなイメージで歩く。
- お腹に軽く力を入れて、体幹を安定させる。
- 遊びを通じて姿勢を改善
- 「ペンギン歩き」
ペンギンのようにお腹に力を入れて歩く遊びを通じて、体幹を意識します。 - 「本を頭に乗せて歩く」
本を落とさずに歩く練習をすることで、背筋を伸ばした姿勢を習慣化します。
- 「ペンギン歩き」
親子でできる歩く習慣をつけるアイデア
- 「お散歩コースを作る」
お子さんが好きな道や公園を散歩コースにして、毎日少しずつ歩く習慣をつけます。 - 「テーマを決める」
「赤いものを探しながら歩く」「お花の名前を教えてあげる」など、散歩にテーマを加えて楽しみます。 - 「歩数チャレンジ」
歩数計をつけて、親子で1日の歩数を記録し、「今日は◯歩歩いた!」と振り返ると、モチベーションが上がります。
まとめ
「歩くこと」は、一見当たり前の動作のように見えますが、正しい歩き方を身につけることは、運動能力の向上や受験準備の基盤を作るために欠かせない要素です。特に年少から年長にかけては、股関節の動きや足の裏の使い方、姿勢を意識した歩き方を習慣化することで、「走る」「跳ぶ」といったより高度な動きもスムーズに習得できます。
受験に向けた特別な運動練習を始める前に、まずは「歩くこと」に目を向けてみましょう。それがすべての運動の土台となり、子どもの健やかな成長を支える重要なステップとなります。
小学校受験体操講師 廣木眞子
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