【コラム】願書添削～準備編～

楽しいを見つめて

慶楓会幼稚園受験コースでは、新年度がスタートし１月を迎えますと、願書・面接の下準備として想定問答集づくりに入ります。特別ではない日常生活の中で、お子様の成長の輝きを取りこぼすことなく発見し、共に楽しみ、共に喜び、時に共に涙し、ごく普通の日常に喜びをもって過ごすことを何よりも大切にしております。

以前の生徒さんで、商社にお勤めでいらしたお父様が赴任していた南米で、日本では不用品として処分するような衣類や道具を、宝の山のように大変愛おしく有難そうに抱え、何度も何度も頭を下げられる姿に、私たち日本人がいつの間にどこかに置き忘れてきた、人としての神々しさを感じたとお話ししてくれたことがありました。人として大切なことは、ありきたりの普通の日常の中にいかに多くの愛おしいものを持つ、いや見つけることだと、自分は現地の人に教えられたとお話し下さいました。

だからこそ娘には、本物に触れ、本質を自身で感じ、多くの愛おしいものに気づく豊かな感性を育てることを大事とし、特別なスペシャルなことではなく、一緒に笑い、一緒に食べ、ただ一緒にいる、ありきたりの日常に「ありがとう」の言葉と共に感謝の気持ちを伝えていると、お父様らしい、唯一無二のオリジナルエピソードとなりました。

育児のアウトソーシング

願書、親子面接、両方に共通して言えることですが、全てをアウトソーシングでは核心に迫った唯一無二のオリジナルエピソードは決して生まれません。なんだか悪くないけど、聞いたことある感じがする、一般的で既視感のあるものでは、合格は担保できないと断言できます。たかが、一幼児教室の講師さえ既視感を感じると言うことは、もっと多くの受験者の願書、親子面接に毎年対応している難関園の先生方には一目瞭然だと思うからです。

ではどうしたら、唯一無二になるのか、いたってシンプルなことです。先の商社のお父様が全てを物語っています。

「ただ一緒にいる」、要するにご自分の手で子育てをする。

お子様の良い日もそうでない日も、親としてわが子育てに迷う日も、共に笑い、共に泣き、スペシャルではない当たり前の日常を一緒に苦楽を共に過ごすこと、いたってシンプルなことです。このシンプルなことが、最近の風潮として難しいと感じています。

最近読んだ新聞記事の中で、「AI時代の怪談」と題し、アメリカの求人登録サイトの求職者の半数がAIで自己PRを書き、多くの企業がそれらの書類をAIで識別しているという。さながらAI対AIの戦いになっている採用活動。記事の最後に、あなたが読んでいる文章は、本当に人間が書いていますか？とありました。冗談のような恐ろしい記事ではあります。願書、親子面接にはそんな時代は絶対来ないとは誰も断言出来ない。はずですが、皆様は如何お感じですか。

そのご家庭らしい願書とは

慶楓会では、多い人で週２回、概ねほとんどの生徒さんが週１回のお通いです。受験学年でも同様です。残りは基本的生活習慣を大切に、早寝早起き、外遊びとお手伝いを軸としてご家庭で過ごして頂いています。

慶楓会にお通いになる前には、たった１，２歳のお子様に３か所も４か所もお稽古事をさせていたご家庭もありました。お子様のより良い成長を願い、様々な可能性を伸ばしてあげたい、子どもも喜んで通っている、子どものためと思ってのことでした。しかしながら、拝見したお子様は色々よくお出来にはなりますが、落ち着きのない、丁寧さの足りないお子様とお見受け致しました。

当然と言えば当然で、毎日たとえ短時間だろうと、どこかへ出かけるということは、お母様は外出のための準備やら時間に追われ、ざわざわするのは、当然の結果であると考えます。慶楓会に通い始め、お子さまが見違えるようにご成長され、全てのお稽古を整理され、お母様と過ごす時間が増えたことにより、お子様の気持ちが満たされ安定し、一緒にいる時間が長くなってもお母様のご負担は軽くなりました。

その結果、お子様の成長と母親としてのご自身の成長を重ね合わせ、唯一無二のオリジナルエピソードが誕生しました。出願後に誤字に気が付いた時はお母様と共に真っ青になりましたが、見事２保の最難関園に複数合格されました。

AIでしたら綺麗な正しい文章だったかもしれませんが、そのご家庭らしい人間味溢れる等身大のオリジナル願書だからこその結果だと言えます。

２つの心得

心得１．唯一無二のオリジナルエピソードは、己にしか探せないものであることを心に刻むべし

心得２.　人間味溢れる等身大の願書こそが唯一無二のオリジナルである

執筆
幼稚園受験コース　主任講師　佐藤