【コラム】志望校を選ぶより前に、志望校から選ばれる努力を

皆様、新年あけましておめでとうございます。

「いよいよ今年は受験」というご家庭にとっては、気持ちの引き締まるお正月をお過ごしでいらしたことと存じます。本格的に受験を意識し、志望校選びを固め始めたご家庭にとって、実際に受験する学校(幼稚園受験の場合は志望園ですが、以下まとめて志望校と記します)選びは最も頭を悩ませることの一つかと存じます。

そこで、本コラムでは小学校受験・幼稚園受験の志望校を選ぶ際に望まれる姿勢について、お伝えさせていただきます。

もくじ

小学校受験・幼稚園受験の志望校の定め方

実際に学校を選ぶ際には様々な観点に基づいてお考えをおすすめになることとでしょう。その際に例えば、共学校と男女別学、宗教の有無、一貫校かいずれ外部受験を前提とした学校か、などといった観点を定めることである程度方向性が見えてきます。

中には、「我が家は代々○○出身なので、この学校しか受けません。駄目なら公立小学校に進み、中学受験で再挑戦します」という方もいらっしゃいます。特に慶應を志す方にこの傾向は顕著ですが、一方で多くのご家庭は「うちの子に合う学校に通わせたい」とおっしゃいます。

志望校を受験する際に大切にしたい心構え・姿勢

入学を願い出る姿勢を忘れずに

この「うちの子に合う学校」という発想がなかなか曲者でして、当会でも保護者の方とのご面談の際に多くの場合、もう一度よくお考えいただくようにお伝えする点です。数ある学校の中でご家庭が受験する学校を選ぶ一方で、学校側も当然ながら、たくさんの受験生の中から入学を許可するご家庭を選ぶのです。

選ぶ主体が、ご家庭または学校のいずれかのみにあるのではなく、双方からの視点になるということを忘れてしまうと、願書や面接でも横柄な姿勢が透けてしまうことになります。特に、たくさんの志願者を集める伝統校に対してほど、ご家庭の側が入学を願い出るという姿勢を忘れないことが大切です。

慶應義塾幼稚舎の入学考査事例(2021年度 入学試験)

先に挙がった慶應義塾幼稚舎の2021年度 入学試験の場合、男子定員96名のところ志願者数1029名、女子定員48名のところ志願者数722名となっており、倍率に換算すると男子約10.7倍、女子約15.0倍という高倍率です。この中で選んでいただけるような子ども、ご家庭としてふさわしい姿を目指し、真摯でひたむきな日々を送ることを忘れずにいることです。

「我が子の良さを理解してくれる学校を選びたい」という姿勢の是非

また、「我が家のありのままの姿、我が子のそのままの良さを理解してくれる学校に通わせたい」ということを仰る方もいます。こういった方は、子どもを型にはめることをしたくないとか、子どもが伸び伸びと個性を発揮できる毎日を過ごさせたい、といったことを併せて仰ることが多く、それ自体は誰も否定することができない理想と言えます。

しかしながらそうした理想をあえて追求するまでもなく、ほぼ全ての学校において個性尊重が謳われており、むしろ子どもの個性は一切認めませんと正面から言ってのける学校は皆無でしょう。ところが実際には、それぞれの学校ごとに積み重ねられてきた伝統があり、その枠組みの中での振る舞いを求められることが現実です。

志望校に選ばれる努力をないがしろにしている?

少し厳しい言い方ではありますが、ありのまま、そのままの姿を評価して欲しいというのは、ご家庭側が、学校側に寄せていく努力をないがしろにしていると捉えられても仕方がないでしょう。まずは自分たちがそのコミュニティの中で適切な一員として認めていただけるよう努力を重ね、受け入れていただけてはじめて、自分たちのことを語る資格が生まれてくるというくらいの心持ちでいるほうが良いくらいかもしれません。それぞれの学校が大切にしている価値観よりも、自分たちの考えを優先すると公言するご家庭に、諸手をあげて入学して欲しいと、学校側は思うでしょうか?

志願者を選ぶ学校側の視点とは

学校側は、お預かりするお子様、ご家庭と、向こう何年間にも渡って一緒に歩んでいくことができるか、ということを考えています。また、目の前のことだけでなく、これまで先人が築いてきた伝統を堅持していくことを大切にしており、入学考査はその最も新しい代を形成するメンバーを選ぶものとして、OB、OGや理事等の役職者を含む関係者の厳しい目も注がれています。

そうした一種の重圧のもとに、厳正に入学考査を実施する以上、自分たちを主語とするのではなく、学校側への理解を第一にしてくれるご家庭を選ぶのは当然でしょう。

志望校を選ぶのではなく、選んでいただく姿勢を持つこと

もちろん、ご家庭の考えと全く異なる学校に無理をしてまで合わせていく必要はありませんが、志望校を選ぶというよりも、自分たちを選んでいただく、という姿勢を忘れずに考えていくことは、志望校を考える上で非常に重要な視点と言えるでしょう。

執筆
小学校受験コース 主任講師 松下健太

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