【コラム】お子様に受験を意識させることの是非

当会に面談に見えるご家庭の、わりあい多くの方が、受験をお子様にはっきりと意識させていないことが多いため、この点についてまずお話しすることが多いです。

今回は、お子様に受験を意識させることの是非についてお伝えしてまいります。

もくじ

受験の意識を持たせるべきか

先に結論

結論から申しますと、意識させるべきです。

受験を意識させることに消極的なご家庭は「もし不合格になったら子どもが可哀想」「大人の顔色を伺うようなことをさせずにのびのび育てたい」といったお考えをお持ちの方が多いような印象です。しかしながら、受験は一種の競争という側面があります。他のお子さんも多くいらっしゃる中で、その学校に選んでいただくために、ご家庭が総力を上げて臨むものです。ですから、時に戦略も必要となりますし、長期的な見通しを持つことの難しい年齢のお子様に対して、励まし、時にはおだてたりしながら課題に主体的に臨んでいく姿勢を育んでいかなければなりません。その際に、明確な意識なしになんとなく取り組むことが良いのか、それとも一定の目標を目指しながら自覚的に取り組んでいくことが良いのか、答えは明らかであると言えます。

やるからには本気で

やるからには本気でしなければなりません。受験は、親の勝手で始めた物です。その勝手に付き合わされているお子様にとって、無意味に感じられるような日々の時間を過ごさせるわけには行きません。とは言え、幼稚園受験の年齢のお子様にとっては「意識させる」と言ってもその範囲は非常に部分的なものにとどまることででしょう。また、小学校受験の年齢のお子様にとっても、その全てを理解することは困難と言えます。だからと言って、なんの説明もなく、というのは子どもにとって「意味は分からなくても、言われたことを黙ってやっていれば良い」というメッセージを送るのと同じと言っても過言ではありません。まして年齢が高くなれば「お友達は公園でまだ遊んでいるのに、どうして僕だけお教室に行かなきゃならないの」などと問われることもあるでしょう。その際に、はぐらかしたりせず、きちんとお子様と向き合うことが大切です。もともと、子ども自身にとっては必然性のない受験に親の都合で巻き込んでいる以上は、その説明責任をきちんと果たし、お子様と向き合っていただきたいと存じます。

学校の情報をどのように伝えるか

伝聞では、スパルタ系で有名なある他塾では授業の最中に講師が参観をしている保護者に向かって「これは○○年の幼稚舎の過去問です」などとお話しされるので、結果的に子どもがその学校名などを知るようになるとのことです。これを聞いて、子どもは耳に入ってきた情報を元に「察する」ことで学校を知るようになります。従って、ご両親がお子様にきちんとお伝えになる前にお子様が学校のことを知ることになり、ご両親の意図と離れたところでお子様に情報が届いてしまう懸念が大きいと感じます。ご両親の考えをきちんとお子様にお伝えになって、その上で情報を得るのであれば良いのですが、必ずしもそのような意図的働きかけにならないのではないかと考えます。

また付随しての事柄ですが、授業では学習の内容に子どもが集中しているべきであるはずなのに、講師のコミュニケーションの向き先が保護者に移ってしまうので、授業というお子様と講師が真剣に向き合う場面において、お子様の意識が散漫になってしまうという心配も感じました。

やはり受験する予定の学校のことは、ご両親様がきちんとお子様に対してご説明なさることが大切と感じます。

もしご縁がいただけなかったら

無力感を植え付けないよう

試験ですから、当然ながら合格に結びつかないこともあり得ます。特に難関と呼ばれる園、学校では、不合格となるお子様の数が合格のお子様の数を遥かに上回ることも多くございます。従いまして、「全落ち」という事態は避けるべく、戦略的に受験校を定めることが必要になります。必ずご招待状が届くように、挑戦校、本命校、安全校と組み合わせを考え、ご両親様が知恵を絞るところです。努力は報われないという無力感だけをお子様が小さいうちに抱いてしまうことを避けるため、親御様の配慮が必要となります。

公立の選択肢を残す場合にも、説明の準備を

ただし、試験の結果が思わしくなかった場合には公立へというご家庭は、この限りではありません。その場合でも、どの結果になってもお子様に対して伝えることと伝えないでおくこととをあらかじめよく吟味しておくことは必要です。結果がご両親の期待と違った場合にも、なんとなく、曖昧にしてしまうことは良くないと考えます。もちろん、小さいお子さんにとって、大人の事情の全てを話す必要もないとは思いますが、それでも、ご両親が勝手に始めた受験に付き合っているお子様に対し、納得のいく説明を一定、行うことは人としての誠実さを考えれば当然のことと言えるでしょう。

ご両親の気持ちの整理が大切

悲惨な例は、倍率の高い名門伝統校のみを受験して結果的にどこからも合格をいただけずに、ご両親が気持ちのやり場を失ってお子様に対して辛く当たるような例です。

また、そうなってから初めて、そのご家庭が今まで目もくれなかったような学校に対し血眼になって二次募集の出願をするようなパターンもあります。このパターンの場合、ご家庭も本人も、結果的に導かれた学校に対して喜んで進学するのであれば大きな問題を孕むことはありませんが、見栄や外聞のために「仕方なく」進学するようでは、お子様にとって大きな不幸です。

ご家庭の覚悟が大事

ご家庭が覚悟を持って臨むのが幼児の受験です。ご両親が始めたことに対して健気に一所懸命に期待に応えようとしている小さなお子様に対し、曖昧なことはせず、しっかりと向き合っていくことが大切です。

執筆
小学校受験コース 主任講師 松下健太

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