【コラム】慶應義塾幼稚舎に受かる子
慶楓会 小学校受験コース主任 松下健太です。
新年度を迎えて1ヶ月が過ぎました。年長の方におかれては、いよいよ受験の年度となったことで、今まで「新」年長と呼ばれていた方も実際の年長となり、さまざまな面で成長の実感や自覚が育まれてきたことと存じます。
さて、現在、当会の「幼稚園・小学校受験コラム」では、幼稚園受験の主任講師より、「-幼稚園別 合格者の実態に迫る- ○○幼稚園に受かる子」の連続記事を掲載しており、これまで下記の記事を公開しました。
また、小学校受験コースからの記事でも、同様の趣旨にて、下記記事を公開しましたところ、大変多くの方からご好評をいただきました。
こちらの記事を公開後、他にどの学校の「受かる子」の記事をお読みになりたいか、SNSでアンケートを実施したところ、「慶應義塾幼稚舎に受かる子」を知りたいというお声が多かったため、今回はそのお声にお応えする記事といたしました。
慶應義塾幼稚舎に受かる子・受かる家庭の特徴
慶應義塾幼稚舎は、数ある私立小学校のうち、たいへん多くのご家庭が入学を志す名門小学校の筆頭であり、多くの親子にとって憧れの的です。しかし、その門をくぐるには非常に厳しい選考プロセスが待ち受けています。このプロセスを通過し、慶應義塾幼稚舎に入学するには、単なる学業成績や知識の獲得だけでなく、個々の子どもや家庭の持つ特定の価値観や特徴が重視されることも事実です。
慶應義塾幼稚舎の入学考査では、子どもの全方位的な能力やご家庭の価値観が深く関わる、緻密に考え抜かれた課題が与えられます。この記事では、そのような子どもと家庭の特徴を探り、考査で問われる事項や、実際に入学後の姿にどのようにつながっていくのかといった点に踏み込んで、お知らせいたします。
以下は、慶楓会が考える「慶應義塾幼稚舎に受かる子・受かる家庭の特徴」です。
子どもの特徴
- 積極性を伴う自立心
- 本物・体験・運動への志向
- 表情豊かで、言語表現が堪能
家庭の特徴
- 学びへの妥協のなさとストイックさ
- 礼儀正しい態度とメリハリ
- 芯の強さと規律の維持
これらについて、以下で順番に解説していきます。
子どもの特徴1:積極性を伴う自立心
慶應義塾幼稚舎に受かる子どもたちは、積極性を伴う自立心を有しています。
幼児なりにも自らの意志が明確で、自己管理能力に富んでいると感じることが多くあります。例えば、日常生活において、自分のことは自分でするという意識を持ち、自ら行動しようとします。幼稚園のお支度から、自分のおもちゃ・持ち物の片付け、家族のために役立つ家庭内の役割に至るまで、自分の身の回りのことを自分で行うことに抵抗がありません。また、問題に直面した際には、自ら考えて解決策を見つけようと努力します。他人に依存することなく、自分で考え、行動することができる自立心を身に付けています。
こうした姿勢を背景に、積極性を発揮して学びやさまざまな活動に意欲的に取り組む子どもが多く見られます。そして新しいことに興味を抱くと、知識や技術を積極的に吸収しようとします。例えば、授業や学習活動においては、たいへん前向きな態度で参加し、自分から積極的に質問をしたり、意見を述べたりします。また、体験活動や集団活動にも積極的に参加し、自分の能力や興味を伸ばすことに努めます。
概して自己肯定感や自己効力感が高く、困難に直面した際にも自信を持って挑戦し、自分の目標に向かって努力を続けることができる、強い意志を持ち合わせています。
子どもの特徴2:本物・体験・運動への志向
慶應義塾幼稚舎に受かる子どもたちの2つ目の特徴として、本物や体験、運動への志向が強い傾向が挙げられます。
まず、彼らは本物に触れる経験を積極的に求めます。メディアを通して得られる情報や代替物ではなく、実物を見たり一流のものに触れたりすることを好みます。写真や映像よりも、実際にその場に立ち会って、物事を直接経験することで、より深い学びを得られることを理解しています。
また、様々な体験活動にも積極的です。親元を離れたキャンプやアウトドア活動のほか、工作や実験教室など、実際に手を動かして物事を体験することを好みます。自分の思い通りに進むばかりではないこれらの活動を通じて、問題解決能力や創造性を養い、自らの興味や能力を発揮する機会を重ねています。
さらに、お子さん本人はもちろんのこと、ご家族一丸で運動への志向も強くお持ちです。体を動かすことに一切の抵抗がなく、運動やスポーツに楽しんで取り組むことができます。運動を通じて体力を増強し、健康を維持することにより、日常の学びにもたいへん良い効果が波及します。そのうえ運動の種目によっては、チームワークやリーダーシップなどの社会的スキルを身に付けたり、自己成長や自己表現の機会を得たりすることができます。
このように、本物や体験、運動への志向が強い子どもたちは、入学後の生活においても、自らの興味や能力を最大限に発揮し、豊かな学びと成長を遂げることができると思われます。
子どもの特徴3:表情豊かで、言語表現が堪能
慶應義塾幼稚舎に受かる子どもの特徴3つめは、表情豊かであり、言語表現が堪能なことです。彼らは豊かな感情を表出することが得意であり、言葉を使って自分の思いや考えを的確に表現することができます。
彼らの素直な感情表現や豊かな表情からは、子どもらしさや誠実さが伝わってきます。喜怒哀楽がはっきりしている姿から、これまで多くの経験を重ねてきたことにより、内面が深く豊かに耕されてきていることが伝わってきます。また率直に感情を表出できる性質は、他人とのコミュニケーションをより実りあるものにする要素となっています。
さらに、言語表現が堪能な子どもたちは、言葉を使って自分の考えや感情を的確に伝えることができます。彼らは豊富な語彙を持ち、適切な言葉を選んで自分の意見や感想を述べることができます。また、お友達との相談や話し合いなどの言語的な活動にも積極的に参加し、周囲に耳を傾けながら、自分の意見を主張することができます。このような表情の豊かさと高い言語表現力は、彼らが自己をより深く理解し、他人との関係をより豊かに築くことを可能にします。
仲間との深い絆や、慶應義塾の一員としての凝集性が求められていく彼らには、入学後もこのようなコミュニケーション能力がたいへん重視されており、子どもたちは自らの表現力を駆使しながら、人間関係を豊かに深めていくことができます。
家庭の特徴1: 学びへの妥協のなさとストイックさ
続いて慶應義塾幼稚舎に受かる家庭の特徴に移ります。
その第1は、学びへの妥協のなさとストイックさを有していることです。ご両親ともに高い教育意識を持ち、学びの重要性を強く認識している傾向があります。そのため、子どもたちが最良の教育を受けるために、学びへの妥協を許さず、明確な規律と自己鍛錬が必要であると考える傾向があります。
まず家庭内では、学業や学習活動に対して常に最善を尽くすことに努力を惜しみません。子どもとともに高い目標を設定し、それに向かって努力する姿勢を促します。その達成のために親身に寄り添いながらも、途中で投げ出したりするような中途半端な態度は決して許さず、子どもたちが達成感や学びの喜びを感じ、自己成長を遂げることができるようにあらゆる手立てを尽くします。
そしてその際のストイックさには目を見張るものがあります。学習場面はもちろんのこと、日常生活においても規律を守り、自己管理能力を養うことが重要視しています。その結果、子どもは責任感を持ち、与えられた課題や義務を真摯に受け止め、最後まで成し遂げることに高い意識を持つようになります。
こうした意識を実生活に反映させるべく、限られた時間やリソースの使い方への意識も高く、無駄な時間の浪費や学びの機会の逸失を許しません。
このような学びへの妥協のなさとストイックさを持つ親御さんの姿は、子どもが学びを加速させることにとって強力なサポートとなります。こうした生活を通じて、子どもたちは学びに真剣に取り組む姿勢を身に付け、将来の成功に向けて着実に歩みを進めることの意義を感じ取ることができるようになります。
家庭の特徴2: 礼儀正しい態度とメリハリのある振る舞い
慶應義塾幼稚舎に受かるご家庭は、概して礼儀正しい態度とメリハリをつけた振る舞いをごく自然になさっています。ご両親自身の行動はもちろんのこと、子どもに礼儀正しい態度とはどういうことかを言葉や行動で教え、公共の場や家庭内での態度・行動において常に配慮しています。また、生活の中でのメリハリを大切にし、適切なバランスを保ちつつ、子どもたちを育てているように見受けられます。
まず、親御さん自身が家庭内でも礼儀正しい態度をとることを常に意識していることにより、子どもは家族や他の人々に対して敬意を持ち、挨拶や礼儀を大切にするようになります。一緒に暮らす家族や、訪問者に対しても丁寧な言葉遣いや行動を心がけ、感謝の気持ちを表すことができるようになっていきます。また、公共の場や学校などでも礼儀を欠かさず、周囲の人々との円滑で和やかなコミュニケーションを大切にするように心がけています。
さらに、日常における時間の使い方や、教室で学ぶ姿についてもメリハリを意識している様子が伝わってきます。子どもたちは適度な規律の下で育ち、生活の中でのルーチンや規則をきちんと守って過ごすようになっていきます。一方で、遊びや休息の時間も大切にされ、ストレスなく自分自身を表現し、また次の学びや活動を楽しむことができています。こうした毎日の中で自己管理能力や責任感が養われていくようになります。
こうしたことができているご家庭は幼児教室での授業でも真摯に学ばれています。遅刻はもってのほか、授業が終わった後もダラダラと教室に残ることはなく、子どもの帰宅と就寝までの時間を有意義に使えるようになさっています。
このような礼儀正しい態度とメリハリある振る舞いを大切にした考え方を持つご家庭の生活は、子どもにとって安定した環境となり、社会的なマナーやルールを学ぶなかで、自己制御や、他者との協調・調和を身に付けることにつながっていきます。
家庭の特徴3: 芯の強さと規律の維持
慶應義塾幼稚舎に受かるご家庭の特徴3つめとして、保護者の方が芯が強く、規律の維持を重視している傾向があります。個人内あるいは家庭内における明確な価値観や原則を持ち、それを子どもたちに伝えることで、自身の芯の強さがお子さんにも伝播して養われているように感じられます。また、規律の維持を通じて子どもたちに責任感や自己管理能力を身に付けさせることにつながっています。
両親の信念や明確な価値観をもとに子どもを教え導くことで、子どもにとっても納得感のある家庭教育が行われることになります。その時々で変わるような曖昧な基準を排して、常に同じ原則のもとで子どもたちに対して厳しさと温かさが両立する教育を行うことにより、困難に立ち向かうための精神的な強さを育てます。家庭内でのルールや規則も厳格に守られ、その中で子どもたちは自分勝手な甘えが許されないことを学ぶとともに、自己の意志を形成し、自立心を養います。
また規律の維持を重視することにより、子どもたちは規則を守り、家庭内での義務や責任を果たすことへの意識が高まっていきます。例えば、定められた時間に起床・就寝することや、いつも同じタイミングで学習に臨むこと、自分が担うべき役割を果たしたり家事を手伝ったりすることなどがあります。これによって、子どもたちは自らの役割や、できることへの自信、すなわち効力感や責任感が培われ、集団生活においても適切な行動を取ることができる品性のある姿につながっていきます。
このようなご両親の芯の強さと家庭における規律の維持が保たれていると、子どもたちは精神的な強さと自立心、独立した個人としての自己管理能力を身に付けることができます。
「慶應義塾幼稚舎に受かる子・受かる家庭」の総括
以上を総合すると、以下のように総括できると思います。
慶應義塾幼稚舎に受かる子どもたちは、自立心や積極性を持ち、自分の意志で物事に取り組むことができる能力を持っています。そして、体験活動や集団活動に積極的で、自らの成長や学びに貪欲です。また、新しい経験や挑戦に積極的に取り組む姿勢を示し、豊かな表現力やコミュニケーション能力を備えています。
また受験に成功する子どもたちの家庭は、厳格でありながら愛情に溢れた環境を提供し、子どもたちに自己管理能力や責任感を養うことに注力しています。両親は我が子の学びに対して妥協を許さず、規律正しい生活習慣を身に付けることを重視しています。さらに、家庭内での礼儀正しい振る舞いや時間の使い方を大切にし、子どもたちに品格や社会性を教えています。
「慶應義塾幼稚舎に受かる子・受かる家庭」を目指すより大切なこと
以前の「学習院初等科に受かる子」という記事でも、「○○小学校に受かる子」という固定観念にとらわれて、形式的な子育てや家庭教育に陥ることは本末転倒なこと、とお伝えしました。その理由として、「実際に受かる子の特徴は、そうした型にはめられたお子さんではないから」とも記しました。
これは、慶應義塾幼稚舎に受かる子・受かるご家庭に関しても全く同じことが言えます。
「受かる子」「受かる家庭」だけを意識して、それに向けた仕草だけを身につけようとするのは、メッキを貼って着飾ることと同じです。そのようなハリボテ作りではなく、着実で、地道とも言える家庭教育の努力を積み重ねていくことこそが本質です。お子さんと日々向き合い、その子の成長の速度や性質に合わせた家庭教育を、軸をぶらさずに続けていくことを大切になさってください。
その上で、ご家庭の歩みが、その慶應義塾幼稚舎の教育方針に沿ったものとなっているかどうかを定期的に振り返っていただくことが必要です。その一助となるよう、慶楓会では学校研究を深めていただく機会として下記のセミナーを開催しております。(3月に実施した際に大好評をいただいたことを受け、5月に再度実施いたします。)
5/11(土)実施分は受付終了。5/22(水)は残席わずか。ご希望の方はお早めにお申し込みください。
なお、振り返りの際に判断に迷う、困るといったときには、専門性に長けた「慶楓会」を頼っていただければと存じます。親身になってご相談にお答えさせていただきたく、特に慶楓会では、有名私立小学校の元教諭よりご家庭の実態に即した助言をお伝えできるよう、ご面談の機会を随時設けております。
お問い合わせは、公式LINEのご登録より、お気軽に行なっていただけます。ここまで熱心にコラムをお読みくださった方は、是非ともLINEのお友だち登録を行っていただければと存じます。深いお悩みのトンネルの中にいらっしゃる方とは、そのお悩みを伺いながら、少しでもお悩みが晴れるようにお力添えさせていただきたいと考えております。
執筆
慶楓会 小学校受験コース主任 松下健太
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